【問4】不動産価格査定書の書き方に関する問題|不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テスト
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。不動産仕入れについて必要な知識をクイズ形式で問います。よくわかる解説付きです。第4回の今回は査定書についての理解を問います。(リビンマガジンBiz編集部)
【問3】不動産価格査定書を作成する時の考え方として、正しいものはどれか。
1. 競合している不動産会社に「査定負け」しない為にも、相場より高めの査定価格を記載し、売主様に選んで頂くことを優先すべきである。
2. 売主様の希望価格に応じ、後から査定価格の説明を変化させるために、価格は、「2000万円~2600万円」のように幅を持たせて記載すべきである。
3. 査定書においては「査定価格算出の過程を説明する細かい計算式」が何より重要であるため、査定書の冒頭に計算式を記載し、じっくりと時間をかけて売主様に説明すべきである。
4. 大切な財産である不動産の売却を任せて頂くためには、自社及び担当者の自己紹介は大切である。従って査定書の冒頭には社長(営業責任者)や担当者の自己紹介及び会社案内を掲載すべきである。
【正解肢】4
【解説】
1.(誤)査定負けをしない為、査定価格を相場以上に設定する不動産会社は多い。しかし、この方法を採用した場合、媒介を受託出来たとしても成約に至る事は難しい。又、価格値下げ(値こなし)を売主様に提案する際の根拠を失う事にもなる。上記の理由から、査定書に相場より高めの査定価格を記載する事はお勧め出来ない。
2.(誤)査定価格の上限と下限があまりにも離れている査定書は、査定書の体を為していない。何種類かの価格を示したい場合は、査定価格、売り出し提案価格、売り出し上限価格(チャレンジ価格)のように分けて説明する事が望ましいと考える。
3.(誤)不動産の素人である売主様に、細かい計算式を長期間説明する事が、プロとして誠意のある仕事とは一概に言えないと考える。逆に、細かい説明で売主様を煙に巻き、不動産会社側が望む形で売りに出そうとする不動産営業担当者も散見されるため、細かい計算式の重要度が本肢記載のように高いとは思えない。
4.(正)大切な不動産の売却を任せて頂く為には、「おっ!この会社は信頼出来そうだな」と感じて頂けるような努力が必要である。不動産価格査定書の冒頭には、店舗の写真、代表挨拶及び写真、担当営業及び写真、会社の特徴・沿革等、不動産を高く売る事のできる理由を記載し、売主の信頼を勝ち取る事を目指すべきと考える。従って本肢記載の内容は正しい。
【参考記事】
・「不動産査定価格は2000万円~2300万円です」←この提案は最悪です。(2019年09月04日公開)
・不動産価格査定書は「会社案内」が重要|不動産価格査定書の作り方(2018年06月13日公開)
・売主は細かい計算式なんて見ていない!|不動産価格査定書の作り方(2018年06月20日公開)
・査定価格の記載方法にも工夫が必要|不動産価格査定書の作り方(2018年06月27日公開)
※本不動産仕入れ営業(媒介受託)確認テストは、執筆者である梶本幸治のコンサル経験・実務経験に基づいた不動産仕入れ理論で作成しております。本確認テストの正解肢以外の考え方や手法を否定するものではございません。