不動産業者への業者訪問は、何のために行うのか?|月に2.5件の媒介を獲得する営業活動
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。
実在する不動産営業社員の九州の山本さんと一緒に、月に2.5件の媒介を獲得するために必要な行動を学んでいきます。今回は、不動産会社同士の付き合いについてです。つかず離れずがほどよい距離、それともディープな付き合いが成功への道なのか。梶本さんの意見を聞きましょう。(リビンマガジンBiz編集部)
みなさん、こんにちは。
株式会社レコの梶本幸治です。
皆さんは不動産業者同士の付き合いは、どうなさっていますか。
たまに一緒に飲み行く程度?たまにゴルフに行くくらい?業界の集まりで会うくらい?
中には「不動産屋同士の集まりは嫌いだ!」とおっしゃる方もおられるでしょうね。
私のクライアント先の20代営業担当者様(九州の山本さん)には、月に2.5件の媒介を獲得する営業活動の一環として、不動産業者訪問をお勧めしています。
「ん?月に2.5件の媒介を獲得する営業活動として業者を回るってどういう意味?業者売主物件でも探してくるって事?」と思われたかも知れませんが、それは違います。
月に2.5件の媒介を獲得する営業活動の中には、査定書の作成も含まれます。
※2020年08月12日公開「不動産価格査定書を月に何件作成すれば媒介が取れるのか?」をご参照下さい。
不動産の査定を行うに当たっては「成約事例」を的確に把握する必要がございます。
「的確に把握」とは、単に成約価格がいくらであるかを知るだけではなく、買主はどんな方か、売主は何故売ったのかを確認する事を指します。
例えば大分市内の一戸建てが売れたとします。
東京から転勤で移って来られた方が、大分の相場も分からず買った場合と、大分に何十年も住んでおられた方が、地元の不動産情報を精査して購入した場合では、価格は全く異なりますよね。
場合によっては、東京の方が購入された事例は、査定成約事例として用いるべきではないかも知れません。
売主様に関しても同じような事が言えます。
大分市内の物件にお住まいの方が借金返済の為に自宅を売却される場合と、今は名古屋にお住まいで実家が大分という方が実家を相続し、「高値で売れるなら売ろうかな」という思いで売りにだされた場合では、これまた成約価格は異なります。
つまり、これら「各案件の特殊事情」を知っているか知っていないかで、査定の精度も変わるのです。
その特殊事情をヒアリングする為に、不動産業者訪問をお勧めしているのです。ご理解頂けましたか?
ちなみに、九州の山本さんが不動産業者を訪問された件数は、2018年7月~2020年4月の22か月間で通算105件、月平均4.77件でございました(※この業者訪問には案件処理の為の訪問や、案内準備の為の訪問などは含まず、情報交換の訪問のみをカウントしています)。
おおよそ1週間に1回以上は情報交換の為に業者訪問を行っている計算ですね。
我々不動産業は情報産業です。地元の不動産情報は広く深く収集出来るよう、常にアンテナを立てておきましょう。
POINT
・成約事例を把握するために地域の業者訪問は有効である。
・特殊な事例を除きながら、役立つ情報を集めよう。