不動産仕入れの為に、営業担当者は自らチラシ投函を行うべきか否か?

「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。


実在する不動産営業社員の九州の山本さんと一緒に、月に2.5件の媒介を獲得するために必要な行動を学んでいきます。不動産営業の基礎、基本とは何でしょうか?ポスティング広告という会社もあるのではないでしょうか。自分の足で担当地域を周り、ネズミの穴までわかるくらいに理解しろ!というわけです。しかし、本当にそれ必要ですか?(リビンマガジンBiz編集部)

画像=写真AC

みなさん、こんにちは。株式会社レコの梶本幸治です。

今回は不動産営業の基本(…だと言う人もいる)、ポスティング広告を取り上げます。

このコラムをご覧下さっているあなたは、毎月何枚ほどの売り求むチラシを自ら配布しておられますか?

私も若い頃は毎日毎日、暑い日も寒い日も「売り求む」のポスティング広告を実施したものです。

平成8年に新卒で大手住宅メーカー系の不動産仲介会社に入社した私は、大阪市阿倍野区の西田辺という所にある営業所に配属となり、毎日自転車で数棟の担当マンションへポスティングをしに回っていました。

夕方になるとチラシの入った紙袋をチャリンコの前かごに突っ込み、当時流行っていた久保田利伸さんの 「LA・LA・LA LOVE SONG」などを口ずさみながら、担当マンションへ向けてペダルを漕いだものです。

いや~!懐かしいなぁ!

って、こんな書き方をすると若手の営業担当者の方は、次のように警戒されるかもしれませんね。

「梶本もチラシ大好きな精神論オジサンかな?毎日5000枚チラシを撒くのが不動産営業の基本だ!とか言い出すのなら、こんなコラムを読む意味はなさそうだな」って。

ご安心ください。私は営業担当が売り求むのポスティング広告を行う事には【反対】です。

不動産のプロである営業担当者に、バイトでも出来る「売り求むポスティング」をさせるなんて勿体ない話です。

※参考記事:チラシ配りをいとわない営業は無能だ!|トップ営業に学ぶ不動産営業術(2018年08月22日公開)

では、クライアント先の20代営業担当者様(九州の山本さん)が、2018年7月~2020年4月の22か月間で配布したポスティングチラシの枚数を見てみましょう。

九州の山本さんは上記期間で合計38,159枚のチラシを手撒きされました。月平均1,735部になります。

今まで驚異的な活動量を誇ってきた九州の山本さんの仕入れ営業ですが、随分と少ない部数ですね。

ちなみに私が山本さんに課したチラシ配布目標は月5,000部です。

実は、もともと、私はチラシ配布目標なんて設定する気はなかったのですが、九州の山本さんが「チラシも撒きたい」とおっしゃるので渋々営業活動に加えたのです。

不動産仕入れ営業は、やらなくてはならない活動が山のようにあります。

そんな忙しい中、営業担当者がわざわざ自らチラシ投函を行う事はナンセンスだと私は思っています。

九州の山本さんの月平均1,735部も「そんなことしなくて良いのに」と思っています。

根性論、精神論でチラシを撒きまくり、何となく仕事をした気になる事は危険です。

物件売り出し直後の「買いチラシ」ならいざ知らず、「売り求むチラシ」を営業担当者が行っている会社は、もう一度営業活動の内容を見直されては如何でしょうか?

POINT

・「売り求むチラシ」は営業担当社員がやるべきかは、立ち止まって考えてみよう。



 
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