各市町村の「空き家バンク」に登録すれば不動産仕入れ(媒介受託)は増えるのか?
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。
チラシや一括査定サイト以外の不動産仕入れについて集中的に学びましょう。今回は空き家バンクについて勉強しましょう。(リビンマガジンBiz編集部)
画像=写真AC
みなさん、こんにちは。
株式会社レコの梶本幸治です。
今回は「空き家バンク」について触れてみたいと思います。
あなたの会社は、商圏内市町村の空き家バンクに登録されていますか?
平成31年3月29日に国土交通省土地・建設産業局 不動産業課が発表した、全国版空き家・空き地バンクの記事によりますと、平成31年2月時点で全国の603自治体が「全国版空き家・空き地バンク」に参加してるそうです。
では、実際に空き家バンクに登録すれば、仕入れが増えてビジネスチャンスが広がるのでしょうか?
私、梶本のコンサルサービスを受けて頂いているクライアントの中で、空き家バンクに登録しておられる不動産会社を1社選び、その会社の成果をご紹介いたします。
= 基本情報 =
【エリア】 西日本のA市・B市(郊外型の市場で、両市を合わせた人口は約12万人)
【調査期間】平成31年(2019年)1月1日~令和2年(2020年)3月31日の15ヶ月間
= 受託状況 =
【有効相談件数】合計9件
※ここでいう有効相談件数とは、宅建業者が案件として扱うに足る相談を指します。案件化しない相談(山林や販売不可の農家住宅・農地等)は含んでおりません。
【媒介受託件数】合計4件(専任媒介2件、一般媒介2件)
= 各市のHPに貼ったバナーから、自社HPへのアクセス遷移 =
【A市のHPに貼ったバナーから、自社HPへのアクセス】
●ユーザー数:239
●新規ユーザー:221
●セッション:349
●直帰率:8.60%
●ページ/セッション:7.10
●平均セッション時間:3分10秒
【B市のHPに貼ったバナーから、自社HPへのアクセス】
●ユーザー数:419
●新規ユーザー:389
●セッション:656
●直帰率:5.18%
●ページ/セッション:9.87
●平均セッション時間:3分16秒
※上記はGoogle Analyticsの「すべてのトラフィック」「参照元/メディア」で計測した値です。
15ヶ月の間に、各市のHPに貼ったバナーから、自社HPへ遷移したユーザー数合計が658で、この期間中の有効相談件数9件、受託数4件(専任2件、一般2件)という成果は「驚くほどの素晴らしい成果」とまでは呼べないでしょうが、そこそこの成果と呼べるのではないでしょうか?
「空き家・空き地バンクからの相談って、なかなか案件化しないんだよね」とおっしゃる不動産プレイヤーは多いですが、上記のような結果を得られるなら、取り組んでみるだけの価値はありそうですね。
又、単に商売だけの観点では無く、空き地空き家問題の解消は、地域振興にも繋がります。
我々、地域密着型の不動産仲介会社は、地域の盛衰に連動して業績が浮き沈みするものです。
お世話になっている地域の発展に寄与する事は、長い目で見れば、あなたの会社が発展する事になると私は思うのですが如何でしょうか?
POINT
・空き家バンクに取り組んでみよう。
・地域発展は会社の発展につながる。