駄目な不動産DM解説|売却の予定をお聞きするDM
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。
しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。
前回に続いて、不動産仕入れにかかせないDM(ダイレクトメール)について、集中的に学びます。第5回目の今回は、気になる売却予定の聞き方についてです。(リビンマガジンBiz編集部)
みなさん、こんにちは。株式会社レコの梶本幸治です。
今回の「駄目な不動産DM解説」では、売却の予定をお聞きするDMを取り上げます。
最初に結論から申し上げますと、不動産仕入れDM(売り求むDM)においては、不動産所有者様に売却の予定をお聞きしてはいけません。
「えっ?売り求むの仕入れDMを送っているのに、売却の予定をお聞きしないってどういう意味?売却の予定が無い方に提案しても仕方ないじゃないか!」と思われたことでしょうが、もう少しお付き合い下さい。
この「梶本式:売買仲介のための不動産仕入れ理論入門」の2019年10月09日掲載分「不動産一括査定サイト反響顧客の「売る気は無いが、価格を知りたかった」って本当?」で次のように解説した事を覚えて頂いていますか。
しかし、相場2000万円程度の物件が、3億円で売れるとしたら、その売り主様も売る気になるのでは無いですか?極端な例をお示ししましたが、結局、高かったら売るのです。
その「売っても良いライン」が売り主様によって異なるだけです。
ここでもお示しした通り、不動産の所有者は価格が高ければ売るのです。その「高い価格のライン」が不動産所有者様によって異なるだけです。
つまり言い換えるなら、どの不動産所有者様も「売却の予定はある」若しくは「売却の予定が無くはない」と理解して下さい。
少なくとも我々不動産プレイヤーが不動産仕入れDM(売り求むDM)を作成する際は、不動産所有者様は価格が高ければご所有不動産を売却される筈だ、との考え方に立つべきなのです。
そのような考え方に立脚し不動産仕入れDM(売り求むDM)を作成すれば、不動産所有者様に【この会社は私の不動産を高く売ってくれそうだ】と感じて頂ける内容(文章)になる筈です。
次のページ:売りたい人に届く内容ではなく、誰もが売りたくなるような内容にする