不動産の売主から「本当の話」を聞きたいなら、先ずは味方になろう
「売り物件の仕入れ」は、不動産売買仲介業には必要不可欠な業務です。
しかし、この「仕入れ」業務をセンスや根性に頼らず論理的に考えたことがある人は多くはありませんでした。そこで、この連載では、不動産仕入れ理論の第一人者である不動産会社専門コンサルタントの梶本幸治さんと一緒に、仕入れを「理論」として学んでいきます。
ヒアリング!ヒアリング!ヒアリング!ヒアリングの大切さを学びましょう。(リビンマガジンBiz編集部)
こんにちは。株式会社レコの梶本幸治です。
今回も前回同様、売り主様に対する売却理由のヒアリングについて考えてみたいと思います。
前回コラムの最後の部分で「売り主様の売却理由を把握出来ない営業担当者に、的確な販売計画の立案など出来る訳もなく、売り主様のご要望に応えられる事もないでしょう」と申し上げましたが、売り主様から本当の売却理由を聞き出す事は難しいものです。その難しさを克服するカギは、「売り主様に味方だと思って頂く事」だと私は考えています。
売却理由のヒアリングは主に査定訪問時に行いますが、この査定訪問時に、次のような態度をとってはいませんか?
・売る気が無いと言っているのに「今が、売却の好機ですよ」と根拠不明な提案をしてくる。
・周辺の成約事例を滔々と語った後、信じられないくらい低い金額の査定価格を提示してくる。
・売れ残りのリスクをひたすら説明し、売り出し価格を低めで設定するよう求めてくる。
・媒介にハンコを押すまで帰らない。しつこい。
如何でしょうか?
営業職なら多少、押しが強いくらいの営業姿勢を心がけたいですが、売り主様の売却理由も把握できていない状況で、【強気の営業】を行ってしまうと、売り主様からは【敵】とみなされてしまうでしょう。
売り主様から、
「不動産の営業担当者といえば、口が達者で押しが強く、自分の利益を押し付けてくるものとばかり思っていたが、この営業担当は少し違うな。私の話をじっくり聞いて貰い、相談に乗ってもらうだけの価値があるかも知れないな。」
と思ってもらう必要がございます。
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