毎週水曜日配信、「元不動産営業マン梶本の、結果を残す営業術」
ビジネス誌からも注目されている不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、デキる営業の心得、成功している不動産会社の特徴を紹介します。
ただ何となしに売却査定書を作っていませんか?売主が何を見ているのか、よーく考えましょう。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=Pixaxbay)
不動産の査定を行う際、一戸建ては原価法、土地と区分所有マンションは取引事例比較法を用い、収益物件の場合は収益還元法を用いる場合が一般的です。
これら査定方法を間違えると、売り出し価格もむちゃくちゃになってしまいますよね。
一昔前は、収益物件の取り扱いになれていない不動産会社が多く、本来収益還元法で査定しなければいけない収益物件を「建物は原価法、土地は取引事例比較法」で査定した結果、利回り20%超の価格設定で売りに出してしまう…ってことがたまにあり、売主様からしたら大損してしまうケースがありました。
まぁ、今の時代、こんなトボけた不動産会社はあまりないでしょうけれど、上記のように査定ミスで価格が狂う事はございます。
そうならないように、不動産流通推進センターが作った査定書等、決められた書式が存在するのですが、これら「決められた書式」で計算すると、査定書の「計算式」の部分が結構なボリュームになってしまいます。
まぁ、査定の正確を期すためには結構なボリュームになっても良いのですが、問題はこの「結構なボリュームの計算式を査定書のどこに入れるか」という問題がでてくるのです。
多くの不動産会社が、次のような構成で不動産価格査定書を作成しているのではないでしょうか?
1.簡単な会社案内及び担当者紹介
2.査定物件の概要
3.査定方法の説明
4.結構なボリュームの計算式
5.一般論としての媒介契約と販売方法のご説明
6.査定価格提案
私も多くの不動産会社の査定書を見て来ましたが、「結構なボリュームの計算式」を「査定価格提案」の前に置いているケースが目につきました。
おそらく「計算式をご理解頂いたうえで、査定価格をご提案申し上げるのが筋だ」という建前で、このようなページ構成になっているのでしょう。
しかし、本当にそうでしょうか。
不動産会社の本音としたら、次のようなものだと思います。
「できるだけ安い価格で受託したいのに、素人の売主にゴチャゴチャ言われるのは鬱陶しいなぁ。そうだ!査定価格の提案の前に複雑な計算式を置けば、売主も混乱し何が何だか分からなくなるかも。混乱に乗じて査定価格を提案し、安い価格で媒介を結んでしまおう」
ん~ん。悪徳不動産屋の発想ですね(汗)。
一昔前なら、不動産価格査定における不動産会社と一般売主の「情報非対称性」は買付営業時のそれを遥かに凌駕しており、まさに不動産会社のやりたい放題でした。
しかし、インターネット等で情報を簡単に入手でき、更に一括査定サイトの普及により「複数不動産会社に査定を依頼すること」が一般的になりつつある現在、このように「結構なボリュームの計算式」を「査定価格提案」の前に置いている姿勢で、売主の信頼を得られるのでしょうか?
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