毎週水曜日配信、「元不動産営業マン梶本の、結果を残す営業術」
業界歴21年、不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、デキる営業の心得、成功している不動産会社の特徴を紹介します。
今回は登記簿謄本の内容から不動産営業に役立つ情報を読み解く方法を、伝授いただきます。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
不動産一括査定反響から媒介受託、物件買取につなげるためには、登記簿謄本の内容から物件情報を推測することが重要です。
前々回の「送客された顧客情報の読み解き方」では、単に建物面積や土地面積、築年数だけを確認するのではなく、隅から隅まで熟読しお客様が売却を考えている背景を浮かび上がらせる大切さをお伝えしました。
前回の「売主の個人情報をネット検索で入手する方法」では、お客様にとって最適な売却手法をとるために情報収集が欠かせないことをお伝えしました。
そして今回の記事「登記簿謄本の内容から物件情報を推測する手順」をご紹介します。
多くの不動産営業担当者は、登記簿謄本を読む際、次の情報に注目します。
・地積
・建物構造と築年数及び延床面積
・現在の所有者
・抵当権設定額と原因日付
これだけの情報を読んで
「敷地面積30坪で坪単価が50万円とすると土地が1,500万円。建物が再調達1,800万円で築後10年の木造って事は、建物の値段は900万円かな?土地建物合計で2,400万円かぁ。そして担保は…設定額3,100万円で原因日付が5年前ってことは、ん~ん、債務超過だから追い金が必要かぁ」
などと判断します。
しかし、これだけの情報しか読み解けないようでは「不動産営業担当者失格」です!
甲区に関しても現所有者はどのように所有権を得たのか。相続か?贈与か?売買か?
相続だったら誰からの相続か?現所有者と被相続人の苗字は同じか?異なるのか?
このような点を読み解くことにより、所有権移転の変遷を知ることができ、売主の物件に対する思い入れ等を推測することが可能です。
また、所有権保存登記が分譲業者名でなされ、現所有者に対し売買を登記原因とする所有権移転登記が行われている時は「おっ!この売主は売れ残り現場を買ったのかもしれないぞ」と推測できます。
乙区に関しても
抵当権設定の登記原因は「○年○月○日 金銭消費貸借同日設定」なのか、「○年○月○日保証委託契約に基づく求償債権同日設定」なのかによって、利用ローンの種類を知ることができます。
また、根抵当権が設定されていれば、売主は商売人(会社経営者)であることが予想できるでしょう。
登記簿謄本の読み解きは、対象物件に限ったことではありません。
近隣物件の登記簿謄本を上げることにより、ビジネスチャンスが広がるかもしれません。