毎週水曜日配信、「元不動産営業マン梶本の、結果を残す営業術」
業界歴21年、不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、デキる営業の心得、成功している不動産会社の特徴を紹介します。
今回は、購入希望のお客が、予約もなしに急に来店されたら!?その際に、聞くべき効果的な質問を紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
あなたのお店には、月に何件くらいの来店客がいらっしゃいますか?
駅前の路面店なら、ひっきりなしに来店があるでしょう。空中店舗ならめったに来店はなく、ほとんどが予約からの来店ですよね。たまに急な来店があると「ん?なにをしに来られたのだろう?」と戸惑ってしまうかもしれませんね。
では、その来店客が「家を買いたくて探しているのですが…」とおっしゃったらどのように対応しますか?
多くの営業パーソンは次のように対応すると思います。
「どうもいらっしゃいませ。ではこの顧客カードにお名前と連絡先をご記入いただけますか。あっ!お名前、ご住所、電話番号だけで結構ですよ。お勤め先やご年収、自己資金の欄は空白のままにしておいてください。個人情報は抵抗を感じちゃいますもんね。では、少し質問させていただいてよろしいでしょうか?お探しの物件は一戸建てですか?マンションですか?それとも土地ですか?ふむふむマンションですか!いいですね!どの場所でお探しですか?お~っ、○○駅徒歩10分以内ですか。人気のエリアですね。で、広さはどのくらいで?70㎡の3LDK以上ですね。承知いたしました。ではでは、肝心のご予算ですが…はい?2,500万円?○○駅徒歩10分以内の70㎡で2,500万円は難しいですよ(←ここでテンション下がりつつも、レインズをカタカタと検索し【該当0件】の結果になる)。やっぱり2、500万円ではないですね。また物件が出ましたらお電話差し上げます。本日はありがとうございました(←つまらん客だな。時間の無駄だった…と心の中で溜息)」
「多くの営業パーソンは次のように対応すると思います」と申し上げましたが、さすがにここまで酷い営業はいないかな?
上記の様な接客は最低なのですが、なにが悪いと思われますか?
答えは…
①買いたい物件の条件ばかりヒアリングしてしまった。
②お勤め先やご年収、自己資金のヒアリングを怠った。
この2点です。
以前、『受託率が上がる!?不動産査定報告時に知っておきたいトーク術』の中で「不動産仕入れにおける必勝営業トークとはズバリ…売却理由を引き出すトークです」と申し上げました。これは購入希望顧客に対する時でも同じです。
購入希望顧客に対しては「購入理由」を聞いて下さい。
例えば、「結婚するので、○○駅近くでマンションを買いたいんです」というお客様がいらっしゃったとしましょう。一定レベル以下の営業パーソンなら「ご結婚ですか!おめでとうございます!で、ご予算は?広さは?間取りは?向きは?」と希望条件のヒアリングに入ってしまいます。
しかし、ここでちょっと立ち止まって次のように聞いて欲しいのです。
「ご結婚おめでとうございます。○○駅周辺には土地勘があるのですか?何故、○○駅なのですか?」
「ご結婚おめでとうございます。結婚後はまず賃貸に入られる方も多いですが、何故購入されるのですか?」
「ご結婚おめでとうございます。○○駅周辺位は一戸建ても多いですが、何故マンションなのですか?」
このように「なぜ?なぜ?どうして?」と聞いて行くことにより、お客様の購入理由の深部に触れることができます。
そして購入理由さえ聞き出せれば、「お客様は○○駅でマンションと仰っていましたが、【購入理由】から考えると、△△駅で一戸建てのほうが良いと思いますよ」と提案することが可能になり、上記のように『レインズをカタカタと検索し【該当0件】の結果になる』なんて馬鹿なことにはなりません。
■本日の格言
購入希望のお客が来店した時、まず聞くことは次の2つである!
・何故、購入されるのか?
・資金計画はどのようにお考えているのか?