毎週水曜日配信、「元不動産営業マン梶本の、結果を残す営業術」
業界歴21年、不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、デキる営業の心得、成功している不動産会社の特徴を紹介します。
「一括査定サイトからの売主反響は情報が薄くて対応したくない」と考えている営業パーソンも多いはず。そこで今回は、少ない情報から売主の売却事情をある程度把握する方法を伝授します。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
「不動産一括査定サイトからの反響は、お客様の顔が見られないから対応する気にならない」
という声を多く聞きます。
昨年の10月に書いた「一括査定サイトの反響に「イライラ」は厳禁!?受託できるコツとは?」でも触れましたが、一括査定サイトからのお客様と応対しているとイライラしますよね。
イライラの原因の一つに「お客様の事情も分からないのに査定なんかできない」という点を挙げる営業パーソンがいらっしゃいます。そこで、今回はお客様の事情をある程度把握することができる方法をご紹介しましょう。
その方法とは
①一括査定サイトの管理画面(もしくは通知メール)に記載された顧客情報を読み込む。
②登記簿謄本の内容を読みこむ
③お客様の氏名で検索をかけてみる
の3手法です。
私はこれを「3点セット」と呼んで、コンサルティング先の不動産企業に徹底してやっていただいています。
まず①の「一括査定サイトの管理画面(もしくは通知メール)に記載された顧客情報を読み込む」です。実は、当たり前のことように見えて、できている営業パーソンはなかなかいません。
例えば、売却時期を【出来るだけ早く】としているのに【賃貸に出した場合の賃料も知りたい】を記載しているお客様は、言っていることが矛盾していますよね。お客様がなんとなく適当に書いているケースも想定されますが、不動産会社サイドとしてはこの矛盾点に疑問を持つべきです。
そして、②「登記簿謄本の内容を読みこむ」も徹底して下さい。
単に築年数や敷地面積、残債の有無を知るためだけに、登記簿謄本をご覧になっている営業パーソンが多すぎます。
ごくごく基本的な部分ですが、「根抵当権がついているということは、売主様は商売をしておられるのだな」とか、「登記原因が財産分与になっているので離婚は成立しているな」といったことには必ず気づいてください。
その他にも、「あきらかに住宅ローンの借り入れなのに支店プロパー融資になっている」場合は、銀行との太いパイプがあることを想定するべきです。また、苗字の違う共有者が複数いる場合は、家系図を書いて共有者同士の関係性を精査するようにしましょう。
このように登記簿謄本を読み込めば、共有者の主権者や、売主の真の売却理由がうっすら推測できます。この「うっすら推測」出来るか否かが、初回提案時の鍵になるのです。
そして最後に③「お客様の氏名で検索をかけてみる」ことも忘れないでください。所属する組織(会社や役所)が出てくることがありますし、Facebookがヒットすることもあります。
その他「出身大学のOB名簿」や「趣味の会(カメラやゴルフ)の名簿」、理系の方なら研究論文などが検索にかかるケースがあります。これら公開されている個人情報をしっかりと頭に叩き込んでからお客様に対応すると、交渉時に心理的な余裕ができ、スムーズなやりとりができるでしょう。
いかがでしたか?今日からはこれら「3点セット」の準備を忘れないでくださいね。
「一括査定サイトは受託できない」とか「一括査定のお客様とは会えない」などと文句ばかり言う前に、不動産のプロとして調査できることはやり尽くしましょう。
本日の格言
・一括査定サイトからの情報を読み込み、矛盾や疑問に気付くべし!
・登記簿謄本を読み込み、権利者の関係や売却事情を読み取るべし!
・売主の名前を検索し、ヒットした情報を活用してスムーズなやりとりを心がけよ!