毎週水曜日配信、「元不動産営業マン梶本の、結果を残す営業術」


業界歴21年、不動産会社専門コンサルタント 梶本幸治さんが、デキる営業マンの心得、成功している不動産会社の特徴を紹介します。

売主から委任を取るために、すぐに「不動産価格査定書」を出している人はいませんか?梶本さんは、デキる営業マンは「査定書をお客に見せない」と言います。その理由を解説します。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=写真AC)

毎月、あなたは査定書を何通作っていますか?
この質問を、凄まじい業績を上げているデキる営業マンにぶつけると、こんな返事が戻ってきます。

査定書なんて作らなくても、受託はできますよ

デキる営業マンは、「アポイント→売却理由の把握→売れる価格の説明→売主納得→受託」までのプロセスが速く、ほとんどが一回の面談で受託します。したがって、「査定書なんて作らなくても、受託はできますよ」という台詞が出てくるわけですね。

では、お尋ねします。あなたはデキる営業マンですか?
もし、「デキる営業マン…って程でないなぁ」と思われたなら、この後も読んでみてください。
自信をもって「はい」と答えられる方は、他の記事をお楽しみください。

査定書の役割は、上記プロセスで申し上げると「売れる価格の説明→売主納得→受託」の部分において営業マンの手助けをすることです。

つまり、その前のプロセスである「売却理由の把握」ができていない時点で査定書を出してしまっては、商談がスムーズに進みません。しかし、普通以下の営業マンは売主と会ったらすぐに査定書を出してしまいます。ひょっとしたらあなたも、売主様と「はじめまして」の挨拶を済ませた後、すぐに鞄から査定書を出していませんか?

何故、スグに査定書を見せてしまうと思いますか?
その答えは…「査定書を一生懸命作ったので、売主様に見てもらいたい」からだと私は思っています。
査定書1通作るには、事例の収集に始まり、査定価格の計算、販売手法の説明等々、割と時間がかかります。

そのように努力して作成した査定書なら、お客様に見てもらいたくなるのが人情です。
しかし、これでは売主様の心には響きません。

なぜ、売主様の心に響かないのでしょうか。それは、「価格を知りたい」という売主様の気持ちが高まり切っていないからです

営業マンを目の前にした売主様は、心の中で「この営業マンはウチの不動産をいくらで見積もって来たのかな?どうせ安く見積もって来たのだろう」と思っています(思っておられない売主様もいらっしゃいます。しかし、営業マンとしてはこのように考えられていると仮定して提案に臨むべきです)。

売主様の気持ちがネガティブな状態では、「どうだ!これが査定書だ!」と見せつけても、心は動きません。

査定書を出すタイミングは、売却理由のヒアリングが終了し、売主様の方からポジティブな気持ちから「ところで、ウチの不動産はいくらで売れるの?」と複数回聞かれてからです。

売主様を焦らしに焦らし、「早く査定価格を知りたい」と思っていただけるまで、査定書には鞄の中にしまっておいてください。もしかすると、査定書を見せることなく受託ができるかもしれません。それこそ営業マンが目標とすべき姿だと思ってください。

先述したように、査定書はあくまで「売れる価格の説明→売主納得→受託」のプロセスを補助してくれるものであり、査定報告の主役ではありません

多くのデキる営業マンは、査定書を作らずにサクッと受託します。しかし普通の営業マンであるあなたは「完璧な査定書を鞄の中で眠らせながら、それを見せることなく受託する」ことを目標にしてくださいね。

本日の格言
・売主と会って、すぐに査定書を提出する営業マンは、「普通以下」だと心得よ!
・売却理由を入念に聞き出し、査定書を見せずに受託することを目標とするべし!

【注1】上記の例は一般的な査定訪問時の心構えをお伝えするものです。一括査定サイトなどからの反響で連絡がつかない売主様に対しては、まず査定書を送付しあなたの提案をご覧いただいてください。なお、売却理由が離婚の場合は、配偶者に相談していないケースもございますので、自宅への査定書郵送は控えてください。

【注2】査定書を見せずに受託する場合も、査定価格は売主様に伝えしっかりと認識していただきましょう。査定価格の提示がない場合、及び査定価格への認識が薄い場合は後ほど、値交渉や売り出し価格の値下げが困難になります。

 
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