不動産仲介会社と「専属専任媒介契約」を結ぶことの是と非
所有している不動産を売りたいと思ったとき、どこに頼んでも早く高く売れる、不動産仲介会社から見たら「簡単な」物件であると信じられるなら、大手不動産仲介会社に売却を依頼するのもいいでしょう。ただしその場合でも「専属専任媒介契約」を結ぶのはちょっと考えた方が良い場合があります。
「専属専任媒介契約」は、単独1社のみに売却の仲介を依頼する契約で、他の不動産会社に自分の案件の仲介をお願いすることはできません。
この契約を結ぶと、自分の周り、例えば親族や友人などが不動産購入をしたいといった場合に直接交渉したくても、契約をしている不動産仲介会社を通じて取引を行わなければならなくなります。（自己発見取引の禁止）
自分で売買の話をまとめたにも関わらず、「仲介手数料（媒介報酬）」を支払う必要が生じます。
売却の相談を不動産仲介会社にすると、全てがそうとは言いませんが特に大手不動産仲介会社は「当社にお任せいただければ買主へのメリットになるアフターサービスもありますし、安心してご希望の金額で売却することができます。ただし、『専属専任媒介契約』を結んでください」と言われることがあります。
お恥ずかしい話ですが、某大手不動産仲介会社を客付側仲介として購入検討者とともに売主居住中の物件を案内したあと、弊社と売主の媒介契約期間更新のタイミングで弊社に無断で同会社が売主宅を訪れて、上のセリフで口説いて専属専任媒介契約を結ばれてしまった経験があります。
この行為は不動産業界では「抜き」とか「飛ばし」と言われる唾棄すべきマナー違反なのですが、残念ながらこれを行う不動産仲介会社は後を絶ちません。
ちなみに後日談としては、売主はその業者に希望価格に届かない安い金額で売却させられてしまったようです。
しかし、だからと言ってあまり何社もの会社と一般媒介契約を結んでしまうとどの会社も真剣にやる気をなくしてしまうこともあるので、まずは信頼できる１社を見つけてベストな売り方を相談するのが良いと思います。
大切な不動産の売却を依頼する不動産仲介会社を選ぶ際は、大手であっても規模の小さいところであっても、顧客の利益を考え、親身になって考えてくれるところを選んでいただきたいと思います。
