住宅の購入をするときには家計の状況に合わせて資金計画を作る必要が有ります。私は不動産の営業をしているときに住宅ローンの返済ができずにせっかく買った家を泣く泣く売るというご家庭を沢山みてきました。その方々は決して収入が低いご家庭ばかりでなく中流のご家庭がほとんどで、購入の時の資金計画をしっかり立てていなかったためそのような状況に陥ってしまったのです。

資金計画を立てるための参考として6回シリーズで中古住宅に関わる費用について述べていきます。

シリーズ構成

1    中古住宅を購入するための費用

2    住宅の所有権を主張するための費用

3    お金を準備するための費用(当記事)

4    購入後に住宅を守るための費用

5    住宅を維持するための費用

6    建替えの費用

1.お金の準備とは

住宅の購入をするためのお金の準備の仕方は、自分で準備する、業者が準備する、他人が準備して支援してくれるに分けられます。

「自分で準備する」はすなわち貯蓄です。単に預貯金で準備する場合には費用は掛かりませんが、運用をして貯蓄効率を上げる場合には手数料などの費用が掛かります。ただ、いざ住宅を購入しようという段階では費用が掛からないのが「自分で準備」することのメリットです。

「業者が準備する」とは住宅ローンのことです。住宅ローンは利用する金融機関によって費用に差があるのでどこの金融機関でどんな住宅ローンを利用するのかが資金計画にとってとても重要な要素となります。

「他人が準備して支援してくれる」は贈与の事です。親や祖父母から支援してもらって住宅を購入した場合にも費用が掛かることがあります。

2.住宅ローンの費用

   金利

金利による費用の差はとても大きいので不動産仲介業者に勧められるままに、銀行担当者に勧められるままに住宅ローンを決めてしまうと、長い期間のローンですから、場合によっては何百万円も損をしてしまうこともあります。自分で選べない場合にはファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談するようにしましょう。

   保証料と事務手数料

住宅ローンの返済が滞ったときにあなたに代わって「保証会社」が銀行に支払いをしてくれます(返済義務がなくなるわけではありません)。これによって銀行は損失を発生しない、または小さくすることができるので住宅ローン利用者に安心して貸付けすることができるのです。その安心料を住宅ローン利用者たちに支払ってもらおうというのが保証料です。保証会社は住宅ローン利用者の審査も行いますので、その事務手数料も支払う必要が有ります。

   印紙代

銀行とは金銭消費貸借契約書を取り交わしますが、その契約書に貼る印紙を購入する必要があります。印紙の代金は借入金額によって異なります。

   抵当権設定費用

住宅ローンを借りるのには担保も必要になります。ローンの対象となる住宅を担保とすることにより銀行は少し安心してお金を貸付けることができます。担保を提供しているという証を登記に記載するための費用が抵当権設定費用です。抵当権設定費用には、税金として登録免許税、司法書士への報酬として抵当権設定手数料、登記したことの報告書類として登記事項証明書取得費用などがあります。

   借入後にかかる手数料

借入後何年かして金銭的な余裕が生まれた場合に繰り上げ返済ができます。繰り上げ返済にも手数料がかかります。数千円でできる銀行もあれば数万円かかる銀行もありますのでこれも住宅ローンを選ぶ際の目安にすると良いでしょう。

3.親や祖父母、その他の人から援助を受けた場合の費用

   一般的な贈与税

人からお金をもらったときには贈与税がかかります。20171月現在では年間で110万円以上人からお金や価値のあるものをもらった場合には税金がかかります。税額、税率はもらった金額によって変わりますので税理士に相談すると良いでしょう。

   住宅購入のために特定の人から援助を受けたときの贈与税

平成2711日から平成331231日までの間に住宅を購入・建築・増改築の契約を締結し、父母や祖父母からそのための資金援助を受けた場合にはその住宅の取得時期、増改築時期に応じて、また、省エネ住宅か否かによって金額の差があるものの、非課税枠が設定されています。例えば、平成291月に省エネ住宅を購入し、その資金援助を父から2,000万円受けた場合には1,200万円までは非課税で、一般的な110万円の非課税枠も利用できることから690万円に対してのみ税金がかかることになります。

   税金の申告にかかる費用

税金の申告を税理士にお願いするとしたら税理士に対する報酬の支払いが必要になります。また住宅の購入時期や条件を満たした住宅であるかどうかの証明のために登記事項証明書を添付することを求められる場合があり、その取得費用も掛かります。

  

  今回の費用は金利や保証料、事務手数料以外は住宅購入時には資金計画から漏れてしまう費用の典型といっていいでしょう。住宅を購入するときには住宅を購入する時だけの費用を資金計画にいれるのではなくその後の資金計画も同時に建てることが大切です。そういったことができれば贈与にかかる費用や繰り上げ返済にかかる費用についても見落としにくくなることでしょう。

 次回は「第4回 購入後に住宅を守るための費用」です。

 
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