2020年の東京オリンピックに向け外国人来訪者によるインバウンド需要が増加しています。デパートや量販店での爆買いだけでなく不動産投資も活発化しています。
湾岸エリアを中心にオリンピック関連施設の整備が進められており、その周辺でのタワーマンション建設も相次いでいます。現在も2019年竣工予定のパークタワー晴海、品川イーストシティタワー、プライムパークス品川シーサイドザ・タワー、シティタワー銀座東、同じく2020年の(仮称)東京ベイ トリプルタワープロジェクト、(仮称)大井町大規模再開発タワープロジェクトなどの建築が進んでいます。
晴海に建築されるオリンピックの選手村も閉会後にマンションへ転用され、約6000戸が供給される予定です。
西新宿など他の地域でも活発に再開発事業が行われており、オリンピック開催前後まで都内ではマンションを始めとする大規模開発が途切れることなく続きます。
一方で東京都の人口は、オリンピックが開催される2020年の1335万人をピークに減少することが見込まれています。15年後の2035年には1278万人(マイナス57万人)となる予測です。既に2013年時点で東京都の空家率は10.9%に達しています。人口減少に転じれば、さらに空家が増加するかもしれません。
こうした点を背景に東京都の不動産市況は2020年を境に悪化するとの見方が広まっていますが、果たして本当にそうなるでしょうか。
空家は古い木造住宅が中心です。こうした住宅は火災に弱い上に密集しているため、防災上の観点からも建て替えや地域全体の再開発が望まれます。このような動きを積極的に後押しする政策(税制改正や所有者の管理義務強化など)が発動されれば、不動産市況が活気づくかもしれません。
また抜本的な人口減少対策として、国が移民を積極的に受け入れる政策へ舵を切る可能性もあります。そうなれば東京都(あるいは日本全体)の人口も増加基調へ転じるため、不動産価格の上昇が見込まれます。
ほかにもリニア新幹線の開業により名古屋が東京通勤圏となり得ること、首都直下型地震など震災リスクが低くないこと、休耕地対策などを背景とした農地規制の大幅改正の可能性があることなどを踏まえれば、単純に人口減少による構造的な不動産価格の低下が起きるとは言えないでしょう。