不動産を売却する場合、既に買手が決まっているときを除き不動産会社に取引の仲介を依頼する必要があります。その際、以下の情報の調査・確認を行った上で不動産会社を探すことが大切です。
1.相場動向
まず不動産市況の全体的な動向を把握することが重要です。1月1日時点の地価である公示地価(国土交通省)、7月1日時点の都道府県地価調査はインターネットで検索すれば簡単に調べられます。住宅着工統計も国土交通省が毎月公表しています。このほか複数の民間企業が新築・中古マンションの販売戸数・価格推移などを公表しています。
また東証に上場しているREIT(不動産投資信託)の価格推移をみれば、大まかな不動産市況の動きを把握できます。
2.税制改正
不動産取得税率、固定資産税率、相続税率、住宅ローン減税(課税所得控除)など住宅の取得・保有に関する税制改正の動きを確認することも大切です。税制改正により駆け込み需要が生まれたり逆に買い控えが起きたりします。税制改正は法令の変更・制定として行われます。最短のケースでは、10月頃に政府や与党が方向性を示し翌年1月から始まる通常国会で法律を改正・制定して4月から施行となります。
3.類似物件価格
売却物件の市場価格は類似物件の売出価格から推測できます。インターネットで検索して立地、間取り・面積、築年などが近い物件の売出価格をみれば、ある程度は自らの売却物件の価格も想定できます。ただしネット情報の価格は売主の提示価格であり最終的な成約価格とは異なります。不動産会社を選定する際には、類似物件の成約価格情報をどの程度持っているかを確認することが重要です。
4.売却物件の基礎情報
全部事項証明書(登記簿謄本)、購入時の重要事項説明書、販売用パンフレット、管理組合規約(マンションの場合)などに目を通して面積、設備、最寄駅からの徒歩時間など売却物件の基礎情報を確認することも欠かせません。
5.不動産会社の取扱物件
インターネットで不動産会社の取扱物件を眺めて特徴をチェックすることも重要です。自らの売却物件と類似した特徴を持つ物件を多く取り扱っているか否かを把握しましょう。住宅の買手は近隣に居住している場合が多いため、大手だけでなく地元の中小業者をチェックすることも大切です。
不動産は個別性が強いため、さまざまな観点から吟味されます。多くの情報を効果的、効率的に整理して買手にアピールする能力を持った不動産会社を選任するためには、まず自ら情報収集・分析を行うことが不可欠です。