2000年代半ば以降、各地で多くのタワーマンションが建設されています。最近は80㎡以下のファミリー向けや40㎡程度の単身者用の住戸も増え購入者が多様化しています。ここではタワーマンションを購入する際、とくに注意すべき点を解説します。
1.地盤
湾岸エリアなどの埋立地は地震による液状化現象の恐れがあります。こうした地域にタワーマンションを建てる際には強固な地盤まで届く杭を打つため倒壊リスクはほとんどありませんが、周辺地域の液状化が生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
2.風力
とくに湾岸エリアの物件では強い風が吹きつけます。このため窓があってもほとんど開けられなかったり絶えず建物が揺れていたりする可能性があります。高層建築物は想像以上に強い風雨にさらされています。それが躯体の劣化につながることも忘れてはいけません。
3.バルコニー
タワーマンションの場合、バルコニーがないか僅かな面積の物件が大半です。こうした物件では部屋に陽が直接降り注ぐため、夏場はエアコンをフル稼働させることになります。停電時には蒸し風呂のような暑さになるリスクがあります。
4.再開発計画
大半のタワーマンションは再開発エリアに建設されます。周辺の再開発が終わっていなければ、日照時間、風向き、景観が変わるかもしれません。富士山やスカイツリーなどのランドマークが見えなくなれば物件価値に影響を及ぼす可能性があります。
5.所有者構成
シングル向け住戸の多い物件は賃貸比率が高くなります。こうした物件では所有者間の利害が一致しにくくなる傾向があります。入居者審査の甘いオーナーが増えると居住環境の悪化につながる恐れもあります。
6.徒歩時間
不動産会社は最寄駅などへの徒歩時間をマンションの敷地から駅の入口までの距離に基づき算定します。地上の水平移動時間しか考慮していないため、中層階以上では自宅玄関から駅のホームまでの正味の移動時間はさらに5分以上長くなります。
7.青田買い
新築マンションでは建物の完成前に購入する「青田買い」が一般的ですが、タワーマンションの場合は可能な限り完成物件を買うことが望まれます。建物の揺れ、陽の差し込み、風の強さ、景観などは実際に物件を見ないと分かりません。
タワーマンションは大手業者が施工、販売を行っているため一定の安心感はありますが、物件ごとに特徴が異なるため十分な情報収集と分析を行った上で購入判断を下すことが大切です。