毎週金曜日配信、「人生の上がり3ホール、賢いシニアのお金の話」
お金・資産運用のプロ 中村伸一さんが「ヤングシニア」向けの資産運用や、老後資金に関してのノウハウを、ゴルフ要素を交えながら伝授します。
今回は、ヤングシニアと実家に関してのお話です。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=Pixabay)
第0打:コースマネージメント 親の家どうする?
8番ホールは、374ヤード・パー4のミドルホールです。Aさんは、距離が短いのでフェアウェイウッドを使って攻め、第2打は、ショートアイアンで確実にピンにつけることを考えました。
以前、私のコラム「中古住宅は今後どうなる。空き家860万戸の衝撃」で増え続ける空き家事情について実態を探っていました。その後、野村総合研究所が発表した推計値によると、2018年の空き家総数は1,080万を超えるというショッキングなレポートが出ました。ヤングシニア世代は、これから両親が老人ホームに入所する、または亡くなったなど、様々な要因で実家をどうしていくかで頭を悩ます場面も増えてくることは想像に難くありません。
子供が取れる選択肢は、次の3つです。
①子供または親戚の誰かが住む
②売却する
③賃貸に出す
もちろん、それぞれのご家庭で様々な条件が異なりますが、
(ア)親が亡くなった場合
(イ)親が入院、もしくは老人ホームなどの施設に入所する場合
(ウ)親はまだ元気だが、将来のことを考え早めに手を打つ場合
の代表的な3つのケースで解決方法をそれぞれ考えてみましょう。
第1打:親が亡くなった場合
第1打、距離が短いので、3Wを使ってティーショット、手ごたえを感じ、球はフェアウェイほぼ真ん中、飛距離は210ヤードとまずまずです。
(ア)親が亡くなった場合、取りうる選択肢は何でしょうか。それは、先述した①~③すべてが選択可能です。
ここで、よくあるケースが、相続登記がなされないケースです。相続登記に期限が決まっていないからです。私が実際に立ち会ったケースでは、未だ相続人のおじいさんの名前で、登記されていたケースが結構ありました。その場合、法定相続人が多数になる可能性が高く、孫の代になると、ケースによっては、何十人の権利関係者が出てくることになります。不動産を処分するにあたっては、その全員から同意と書類の提出が必要となります。つまり、膨大な手間と時間と費用が掛かることとなりかねません。また遺産分割協議書をまとめることは、至極困難になります。
ですので、相続登記は、なるべく早く完了しておくことが肝要です。
第2打:親が入院、施設への入所
第2打は、ピンまで164ヤード、6番アイアンを使って、グリーンを狙いました。少しダフり気味でしたが、ピンまで8メートル手前のところ、ナイスオンです。
親が入院、もしくは介護が困難になったために施設に入った時を考えましょう。もし施設に入る、入院費用が掛かるといった場合、実家を売却するか、賃貸に出して家賃収入を得て、それを施設に支払うお金に充当する、などが考えられます。
特に、所有している物件が高い家賃で貸せる場合、その家賃をいろいろな支出に充当することができます。
第3打:早めの手を打っておくこと
何事も早めに決断しておくと、取れる手段が広がります。
例えば、物件を相続せず、自分たちの施設料、病院での治療費、入院費などに「リバースモーゲッジ(地域、マンションか一戸建てかで、適応手段が異なってくる)」を使うなども考えられます。
また、残された世代のために遺言書を書いておくことは、義務といっても過言ではありません。
8メートルのバーディーパット。うまく練習した通りイメージがわきました。
しかしわずかボール2個分スライスし、バーディーは逃してしまいました。
(画像=Pixabay)
第4打:まとめ
このように、様々な条件の下、どの選択肢をとるかは、皆さんと、ご兄弟、そしてご両親との距離などによってさまざまな対応法があります。
また、日本人の5割強が、相続課税金額の約4割を不動産で所有しています。つまり、その処理の仕方次第では、払うべき相続税に大きな差が生ずることとなります。
その不動産ですが、まとめますと下記の点に注意し、どの選択肢をとるか、専門家の意見を聞きながら、決定することが大切です。
・立地条件 (駅からの距離など)
・周辺環境(借主、新たな購入者が望む環境か)
・建物の中の設備が、バリアフリーになっているか
・今後のお二人、もしくは一人の今後のライフプラン
残り2メートル、パターで打った球は、カップ右からきれいに吸い込まれました。ナイスパーでした。