毎週金曜日配信、「人生の上がり3ホール、賢いシニアのお金の話」
お金・資産運用のプロ 中村伸一さんが「ヤングシニア」向けの資産運用や、老後資金に関してのノウハウを、ゴルフ要素を交えながら伝授します。

今回は、ヤングシニアがこれから住宅に支払うお金に関する話です(リビンマガジンBiz編集部)。


(画像=Pixabay)

第0打:コースマネージメント ヤングシニアのための賃貸vs持ち家 論争

6番ホールは、パー4の379ヤード距離の短いミドルホール。Aさんは、不調なドライバーを封印し、3番ウッドでティーショットを打とうか、思案中です。

ヤングシニアの世代の観点から、この年から賃貸か持ち家かを考えることはそう多くはないかと思います。すでに持ち家のお住いの場合、今から賃貸物件に移るという方々は少ないでしょうし、逆もまたしかりかと思います。

しかし、子供が巣立ち、夫婦二人だけの生活になる場合、これからの住まいをどうするかお金のことも踏まえて、考え方を整理するのも良いタイミングなのではないでしょうか。
60歳から90歳までの30年間をシミュレーションしてみましょう。

Aさんはスプーンを抜いてティーグランドに立とうと決めました。

第1打:賃貸にかかる費用

今まで賃貸にお住まいで、今後もそのまま賃貸に住み続けるXさんのケースを考えてみましょう。夫婦二人のマンション住まいで広さは60㎡、山手線のターミナル駅から電車で30分、最寄り駅から徒歩10分ぐらいの場所で計算しています。

かかる費用は、

・家賃13万(平成築 共益費込)
・駐車場1.5万
・2年に一度の更新料、1月分 13万円

これら30年間の支出総合計額は、5,415万円です。

また、25年前、家を買う頭金として考えていた1000万円は、年2%で運用できたと仮定した場合、その金額は1,640万円です。

Aさんは、3番ウッドを使ってティーショット。左からの風に少し流されましたが、見事フェアウェーの右側210ヤードのところに落ちました。

第2打:持ち家にかかる費用

残り169ヤードの第2打。5番アイアンでグリーンを狙ったAさん、少しダフってしまい、あまり飛距離が出ず、手前のガードバンカーに入ってしまいました。がっかりのAさん。気を取り直して、バンカーへ向かいます。


Xさんと同じ地域に、25年前約3,800万のマンションを頭金1,000万円で購入した分譲マンションに住んでいるYさんの場合、一体いくらかかるのでしょうか。


今まで払ってきた住宅ローン(毎月約13万円で25年)が終わり、これから払っていく諸経費は、

・固定資産税15万円(1年)
・駐車場1.5万円
・修繕積立金1.5万円
・管理費1万円
とすると、30年間で1,890万円となります。

第3打:賃貸と分譲 比較してみましょう

では、この条件で賃貸と分譲を比較してみましょう。比較しやすいように、できるだけ同じ地域で賃貸物件と分譲物件に住んだと仮定しています。

まず賃貸のケースは、これから30年かかる費用が5,415万円、そこから頭金として準備していましたが、使わなかった1,000万円と年2%で運用したお金を充当して、結果3,775万円が支払い総額となります。
一方分譲マンションの場合、30年支払う金額は1,890万円です。

バンカーからサンドウェッジでピンを狙ったAさん、上手く脱出でき、ピン横3.5メートルにナイスオン。

第4打:賃貸vs分譲 結局どちらが良い?

数字上のシミュレーションで、これから住まいに支払っていく数字を簡単に比較しました。

数字上は賃貸3,775万円vs分譲1,890万円とおおよそ2:1の比率となりました。
これは、仮定の数字を基にしたシミュレーションですので、必ずしもこのような結果になるとは限りません。
ざっくりの計算ですと、分譲の方が今後30年では少ない金額で済むという結果が出ました。
実際には、今後介護施設に入ろうか、子供たちと2世帯住宅を建てようか、故郷にUターンするなど、様々な行動パターンがあるため一概にはいえない部分も多くあります。
お金だけではなく、今後のライフプランをしっかり考えて選択することが何より大切です。

のこり3.5メートルのフックライン、見事Aさんはラインを読み切り、パーで切り抜けました。

 
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