皆さま、こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの岩永真理です。
我が国では少子高齢化時代に突入しています。総務省の国勢調査によると、
平成27年10月1日の日本の人口はおよそ一億2,700万人で前年比−0.8%です。
2060年には9千万人に減ると予測されており、しかもその4割は65歳以上の高齢者となる見込みです。
人口が減れば、住む家も必要なくなります。
■なぜ郊外・戸建て・築古がいけないのか?
かつては誰もが憧れた一戸建てのファミリー生活ですが、年収もかつてほど上がらない今となっては、
身の丈にあった生活を求めて多くの人が車を持たなくなりました。
結婚しない人や子供を持たない人も増え、ライフスタイルも多様化しました。
これに伴い、住宅もこれまでとは異なる機能や目的が求められる時代になりました。
タワーマンションなどの建設で都心でのマンション供給量も増えたこともあり、
広くても勤務先から遠い戸建てより、狭くても近いマンションを選ぶ人が増えました。
郊外戸建ての所有者は高齢化し、老人ホームに転居されたり、亡くなったりした後、
子供たちは既に独立して自宅を持っているため、誰も住む人がいなくなることになります。
こうして徐々に空き家が出現し、いわゆる郊外・戸建て・築古がその「空き家」という不名誉な運命をたどりやすいのです。
■悪循環を断ち切るには?
ではどうしたら、この悪循環を断ち切れるのでしょうか。
誰も住む人がおらず、住みたい人が見つからないから空き家になります。
そこに住む需要がないなら、住む需要を作ることです。
今後の空き家対策は、これまでとは違う観点から新たな需要を掘り起こすことが大切だと思われます。
前回は、年々増えている来日外国人つまりインバウンド需要に目を向け、「来日外国人の宿泊施設」にすることを提案しました。
■空き家対策(パート2)
同じ外国人という意味でいえば、観光客ほど数は多くないかもしれませんが、日本への留学生も増加しています。日本人には不向きと思われていた物件も、外国人の学生から見れば魅力的な物件に転じることができるかもしれません。
「外国人留学生の学生寮」などはいかがでしょうか?
賃貸料が手ごろという意味では、学生にとってよい物件になり得ますので、何も外国人に限らず、
「日本人学生のシェアハウス」でもよいかもしれません。
或いは、「外国人も交えた国際シェアハウス」も可能でしょう。
高齢化社会ですから、高齢者需要に応える意味では、
地域の「老人ホーム」や「老人福祉施設」、「介護施設」という方法もあるかと思います。
自治体、又は不動産業者とうまく協力して、このような福祉施設としての利用も空き家対策としては可能性があると考えます。
過疎地域であれば、自治体と共営して割安な家賃で他府県の若い家族を誘致することもできるかもしれません。
こうして考えると、空き家対策は、地域社会の活性化につながり、
社会全体に有益な効果をもたらすお宝になる可能性もあり、いかに運営していくかということなのかもしれません。