皆さま、こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの岩永真理です。
下記国土交通省のデータによると、住宅地の地価は、三大都市圏は小幅な上昇ですが、地方圏では中枢都市を除き下落傾向が続いています。
東京圏においても、上昇しているのは東京都心部であり、都下、埼玉、神奈川、千葉などの一部郊外はまだ依然として下落傾向が続いています。
つまり上昇しているのは、一部地域に限られているといえます。
■地価は需要の鏡
地価の上昇や下落は一体何を表しているのでしょうか?
物の値段と同様に、需要が多ければ価格は上がり、需要が少なければ価格は下がります。
つまり、価格が下がっている地域は需要が減っていることを表しています。
日本は少子高齢化時代に突入しています。
総務省の国勢調査によると、平成27年10月1日の日本の人口はおよそ一億2,700万人で前年比−0.8%です。
2060年には9千万人に減ると予測されており、しかもその4割は65歳以上の高齢者となる見込みです。
人口が減れば、住む家も必要なくなりますので、空き家問題が深刻化するわけですが、
その深刻化の度合いが強いのが、今すでに需要が減っている、つまり価格が下がっている地域です。
そしてそのターゲットとなりやすいのが、いわゆる郊外・戸建て・築古なのです。
■空き家への道
かつては誰もが憧れた一戸建てでのファミリー生活ですが、平均年収も右肩下がりの今となっては(下図)、
身の丈にあった生活を求めて多くの人が車を持たなくなり、
勤務先からの近居を求めた結果、都心回帰が進み、遠くの戸建ては敬遠されがちになったのです。
(出所:国税庁「平成26年分 民間給与実態統計調査」)
こうした背景から、郊外の戸建ては売れなくなり、既存の戸建ては築年数を増していくにつれて更に売れなくなるという悪循環に陥っているのです。
これは戸建てに限らず、郊外であればマンションでも同様の傾向があると思われます。
更に悪いことに、こうした郊外の築古物件は所有者が高齢者となり、老人ホームに転居されたり、
亡くなったりした後、子供たちは既に独立して自宅を持っているため、誰も住む人がいなくなることです。
こうして望まざるして空き家が出現してくることになるのです。
ではどうしたら、この悪循環を断ち切れるのでしょうか。
■空き家対策(パート1:来日外国人の宿泊需要)
誰も住む人がおらず、住みたい人が見つからないから空き家になります。
そこに住む需要がないなら、住む需要を作ることです。
例えば、需要を作る対象は日本人に限ることはありません。
外国人にも目を向けると、そこには日本人には不向きと思われていた物件も
魅力的な物件に転じることができるかもしれません。
日本を訪れる観光客は年々増えています。
そして彼らが求めるのは日本の観光地巡り以外にも、自国ではできない日本での体験であったりします。
雪を見たい、流しそうめんのイベントをやってみたい、温泉に入ってみたい、きのこ狩りをしてみたい、等々、
この国ならではの体験を楽しめれば、それは彼らにとっては特別の想い出になります。
彼らは通勤を目的として宿泊所を選ぶわけではありませんから、郊外であっても多少のリフォームで
彼らのニーズを満たせば、立派な宿泊施設になるのではないでしょうか。
地方自治体などとうまく誘致活動ができれば、対策の糸口になる可能性はあります。
自身ですべてを手掛けるのが大変であれば、Airbnb(エアビーアンドビー)などに登録する方法もあるでしょう。
今後の空き家対策は、これまでとは違う観点から新たな需要を掘り起こすことが大切だと思われます。
次回も対策パート2を考えてまいります。