こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの岩永真理です。

このたび、ご縁をいただいての初投稿です。

どうぞよろしくお願いいたします。

■トランプショックに次ぐTPPショック

米大統領トランプが昨日TPP=環太平洋パートナーシップの「永久離脱」の大統領令に署名してしまいました。TPP協定の発効にはアメリカの承認が欠かせないことになっていたので、これで発効のめどが立たなくなりました。

日本はアベノミクスの成長戦略の一つとして、TPPを推し進めてきました。協定国間での関税を撤廃することにより、輸出産業の活性化を図ろうとしていたからです。

同時に海外から安い製品が輸入できれば、不動産市場にも大きな影響をもたらす可能性がありました。

■不動産価格に与える影響

平成27年の新設住宅着工戸数は 909,299戸、前年比では1.9%増となり、前年の減少から再びの増加でした。 一方、新設住宅着工床面積は 75,059千㎡,前年比0.8%減,2年連続の減少です。つまり、着工戸数はやや増加したものの、床面積は2年連続の減少で住戸の規模は拡大していないということです。

では、価格はどうでしょうか?下図は国土交通省発表の住宅の不動産指数です。2010年を100とした時に、土地の価格はそれほど変化していませんが、戸建て住宅は若干の上昇、マンションは30%近く上がっています。

この値上がりの原因は、人件費と資材価格の上昇が主で、その背景には技能労働者、いわゆる職人の不足、円安による輸入資材等の価格上昇などが挙げられます。

■今後の動向

もしTPPが発効し、輸入資材の価格が抑えられたなら、新たに着工する住宅価格は抑えることができたかもしれません。しかし、現実にはその可能性はなくなりましたので、住宅価格は今後も引き続き上昇していく可能性があります。

新築住宅価格の上昇は、中古市場の需要も喚起するので、中古住宅も価格上昇が見込まれるのではないでしょうか。

ただし、注意しなければならないのは、トランプ大統領が今後ほかにどんな政策をとるのか不透明な部分が多く、米ドルの価値が上昇するか下落するかで世界の為替相場も大きく変わってくることです。TPP発効がなくなったことで、TPP自体が及ぼす安価な輸入資材が流通する可能性はなくなりましたが、この大統領令による米ドルへ与える影響も少なからずあるかもしれません。そしてそれはTPPに限ったことではありません。トランプ大統領の政策には、今後も注視していく必要がありますし、為替相場がどうなるかで住宅価格に与える影響も大きいでしょう。

そして、今回のTPPが事実上機能しなくなることで、アベノミクスの成長戦略は一層停滞し、日本の経済成長が危ぶまれることが大きなショックとしてじわじわと不動産価格に反映されてくることにならないことを祈るのは私だけでないはずです。

 
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