こんにちは!
【現場主義の不動産運営コンサルタント】の伊藤隆晴です
前回は、当社が25年以上お付き合いをさせていただきましたAさんビルの竣工から20年ほどのところまでを前編としてお話をしました。今回は後編ということで、売却に至る経緯、その後をお話しします。
『セキュリティー強化』
現代の建物の設備では以前より安全と安心が求められています。
それについての詳しい話はまたの機会にしますが、Aさんのビルでも不審者の侵入やボヤ騒ぎなどがあり、セキュリティーの強化が必要となりました。
警備会社と協力してAさんへ提案し、設備更新や防犯カメラの設置などが行われました。
現代では必須項目ではありますが、当然導入費用やランニングコストはかかります。
『そろそろ・・・』
様々な困難があるも、当社と二人三脚で踏ん張ってビル経営を続けてきたAさんですが、自営業として店舗を堅実かつ、新しいスタイルも取り入れたりして工夫して経営されています。
ビルを建築した当時は50代であったAさんですが、それから20数年が過ぎ、80歳も間近というご年齢になっていました。
自営業もそろそろきつくなってきたので、お店を閉めて引退する決断をします。
都心の自宅兼店舗を売却して郊外に移住されました。
『やはり、あの件が響く』
郊外に移ってからもビル経営を続けていましたが、現状ではビルの収支がギリギリというところでした。築25年のビルですが、今後はエレベーターや空調のリニューアルなど控えており設備の改修に大きなお金が掛かります、
また、自営業を既に引退しているため、そこからの補填もできず、貯金を崩すし、年金から持ち出す状況になってしまいます。
本来なら、この年齢になった時にはローンは終了している計算でした。そうすれば逆に老後の資金にプラスの恩恵があるはずでした。
ところが、前編でお話ししたように共同経営者のローンを被ることになり、まだ10年間支払いが続きます。
Aさんにはご子息がいらっしゃいますが、そんな状態のビルでは積極的に継いで行こうという気にはならないようです。
『ご相談』。
Aさんから「自分が元気なうちになんとかしないと」と当社へご相談がありました。
きっかけは当社代表の著書「HAPPY相続」を担当者がお届けしたことでした。年齢の高い方に相続の本をお届けするのも、「なんとなく気がひける」という方もおいでとは思います。しかし、逆に情報を求めていたということでしたし、家族みんなで考えましょうという主旨の本でもありましたので喜んでいただけました。
『売却へ』
ご相談させていただいた結果、このままビル経営をして、老後も支払いを続けるのではなく、売却して残債を整理し、自由に過ごせる時間と資金を得たほうがよいという結論になりました。
残債や物件価値などから、希望売り出し価格が決まり、当社売買部門で各所にアプローチを開始しました。当社も竣工時からAさんと苦楽を共にしてきた物件です。少しでも良い条件で買っていただけるところを探しました。
数社に手を挙げていただきましたが、その中でも当社と以前からお付き合いのあったC社さんが、一番高く手を挙げていただき、成約となりました。
『結果として』
今回の売却金額は当初Aさんが希望した額より3割ほど高い金額となりました。
残債もなくなり、予想以上の老後資金となったため、大変に喜んでいただけました。
『まとめ』
ビル経営とは長い期間に及ぶものです。振り返ってみると、当初の計画とは随分と違ってくるのも当然かもしれません。本事例から学べることは
(1) 計画通りにいかなくても少々耐えられる余力をもつこと
(2) 発生する出来事に冷静かつ柔軟に対応、判断すること
(3) 出口戦略も柔軟性をもって対応すること
(4) 常に信頼できるパートナーを持つこと
最後の(4)はAさんと共に歩んだ当社の宣伝も含みます!!