2017年3月21日に、国土交通省は2017年1月1日に時点の公示地価を発表しました。今回のポイントは、住宅地の全国平均が前年比横ばいへと転じたこと。9年ぶりの下げ止まりです。また、商業地は2年連続の上昇。こうした状況下で、不動産を売却するとしたらどのように考えるべきなのでしょうか。
■地方中枢都市の地価上昇が著しくなりつつある
これまでは東京都心や再開発地域をはじめ、局所的な価格上昇が目立っていましたが、ようやく地方中枢都市でも地価が上昇しつつあります。特に、本年の公示地価では商業地の上昇率全国トップ5を大阪が占めるなど、じわじわと大都市を中心に地価上昇が波及しつつあるのです。
こうした中で、不動産売却という観点から見た場合にどのように動くことが戦略的に効果的なのでしょうか。一番は値段が上がっている地域の場合、なぜ上がっているのか、今後も上がる見込みがありそうかどうかを捉えること。東京都心のように、高止まりはしているものの、上昇率にやや陰りが出てきている場合には、そろそろ売却を検討したほうが良いといえます。一方、東京から見れば出遅れがちな地方大都市の場合には、もう少し待つのも得策といえるかもしれません。
今後、更に地方都市(特に駅前や中心部)への地価上昇と拡大していく可能性があります。バブルのころとは比べ物にならないぐらい地価が冷え込んでいるのが地方。まだ上がる見込みは秘めているといってよいでしょう。
■株価も一つの目安になる
もう一点、不動産価格を捉える上で目安となるのが「株価(日経平均株価)」です。景気が悪化する予兆には株価下落があります。先を走る目安として使えるのです。不動産価格は株価よりは後から下落するもしくは上昇する傾向があります。
そのため、現状は高止まりしている日経平均株価がどこかで下落の方向に推移するとなれば、不動産売却を急いだ方がよいかもしれません。一番良いのは最も高いときに売却することですが、なかなかそれは難しいもの。そのため、こうした公示地価の動きを捉えたり、株価を一つの判断材料として利用する、売却したい不動産のある地域で今後再開発などが予定されていないかどうかチェックすることが重要といえます。