2013年9月7日(日本時間では9月8日)に東京オリンピックが決定して以来、東京を中心に再開発やオリンピックに向けた整備が進んでいます。オリンピック決定や日銀の大胆な金融緩和による効果は、日本の不動産市況に追い風となり、ここ最近の地価上昇は地方都市にも波及してくるようになってきました。
さて、ここで気になるのが、いつまでこの状況が続くのかということ。あくまで私見ですが、考えられる点をまとめてみました。
■2018年~2019年が一つのヤマ場か
既に外国人投資家の一部では、日本の不動産を売却する動きが見られています。これは、ババを引きたくないという思いからなのでしょう。価格が大きく上がった地域やオリンピックに関連する地域を中心に売却する動きが見られます。
こうした動きは2018年~2019年頃にピークを迎えるかもしれません。その理由としては、税金の観点と今後の日銀の金融政策の方向性にあります。
まず、税金の観点から説明しましょう。不動産を個人で購入する場合、譲渡した1月1日において所有期間が5年未満(短期譲渡所得)か5年以上(長期譲渡所得)かで税率が異なってきます。
短期譲渡所得の場合、税率は39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)となります。一方、長期譲渡所得の場合には、税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)となります。税金がほぼ半分になる点は、投資家にとっては非常に重要な点となります。2012年に不動産を購入した人は、2018年1月1日以降に売却すれば長期譲渡所得に該当することになります。また、2013年に不動産を購入した人は、2019年1月1日以降に売却すれば長期譲渡所得に該当することになります。そのため、2019年近辺が一つの売却のヤマ場となる可能性があります。
もう一つ、日本銀行の金融政策について。日本銀行は2016年9月21日に開催した金融政策決定会合において、長期金利0%誘導を決定しました。物価が2%に上昇するまでは金融緩和を続ける姿勢を明確にしたため、当分は現状が続くものを想定されます。そのため、金融政策面から売却のヤマ場を探るのは現時点では難しいといえますが、黒田総裁の任期が2018年4月8日までという点を考慮すると、その後の不安は残ります。
以上の観点から、2018年~2019年にヤマ場がくるのではないかと考えられます。
■再開発地域などは別
なお、日本全体で見ればこうしたヤマ場が想定できますが、オリンピックとは関係の薄い再開発地域などはその後も価格が上昇する可能性は十分あります。そのため、再開発地域や今後も新駅ができる地域などは別物として売却を検討されたほうがよいでしょう。