こんにちは、カピバラ好き行政書士の石井くるみです(*´ω`*)
厳しい寒さが続きますが、暦の上では春☆
インバウンド増加のいきおいに乗り、旅館業法の改正や民泊新法の制定も
いよいよ動き始めようとしています。
昭和23年に作られた旅館業法の改正論点の一つに、
「宿泊拒否制限条項の撤廃」というテーマがあります。
「旅館業の事業者は、特別な理由がない限り、宿泊の申し込みを断ってはいけない」
というルールです。
具体的に、どういうルールなのでしょうか?
ご説明したいと思います(^_^)/~
【宿泊拒否制限とは?】
旅館業法の宿泊拒否制限条項とは、第5条に規定されています。
第五条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
一 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。
二 宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。
三 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。
「特別な理由」とは、条文を読む限り、
〇宿泊を希望している人が明らかに伝染病にかかっている
〇賭け事など風紀を乱す可能性がある
〇施設が満員
などが例示されています。
70年以上前に作られた法律なので、
“宿泊を拒否されたら行倒れて死んでしまうかもしれない”・・・・ということが、
現実的に起こり得る時代だったのでしょう。
【なにが違法な宿泊拒否に当たる?】
① ハンセン病が完治した元患者の宿泊を拒否
2003年熊本県のホテルで、ハンセン病が完治した元患者の宿泊の申し込みを
「他の宿泊客への迷惑」などを理由として断ったホテルについて、県は旅館業法違反により営業停止処分としました。
この対応については賛否両論があったものの、すでに元患者のハンセン病は完治しており、
そもそもハンセン病は通常の宿泊や飲食では感染しないことから、不当な人権侵害に当たると考えられました。
処分と同時に、この廃業を表明しましたが、
熊本地方検察庁は、ホテルの元社長(事件当時の社長)、総支配人、法人としてのホテルを略式起訴し、
熊本地方裁判所は、罰金2万円の略式命令を下しています。
② 男性同士のカップルの宿泊を拒否
2016年10月、男性同士のカップルの宿泊の申し込みを拒否したと大阪府のラブホテルについて、
保健所がホテルに立入検査を行い、同性同士を理由に宿泊を拒否することはできない、と指導しました。
2つの事例からもわかるように、ホテルは原則として宿泊の申し込みがあった場合に、拒否することができません。
宿泊しようとしている人は、伝染病ではないし、賭博など違法行為をしようとしているワケではない・・・
条文上で、拒否できそうな表現としては「風紀を乱す行為をする虞がある」とありますが、
上記2つの事例では、これには該当しないと判断されたということです。
事業者に客を選ぶ自由がないというのは、賃貸借契約との大きな違いですね!
しかし、世の中には他にも「?」がつくホテルや旅館が存在します。
「一日一組限定の旅館」
「女性専用のカプセルホテル」
これらは、旅館業法違反(宿泊拒否に該当する)にならないのでしょうか???
長いくなりそうなので、次の記事に書きますね(´っ・ω・)っ
乞う、ご期待ください☆