住宅ローンコンサルティングを行っている株式会社FPアルトゥルの井上です。前回は金利優遇条件の違いを考慮した金融機関の比較を考えました。10年固定や5年固定を選ぶ際には金利優遇の条件に注意する必要がありました。今回は全期間固定金利の場合と変動金利の場合について考えます。

おさらい:当初固定期間終了後、金利優遇条件がどうなるかに注意

住宅ローンの5年固定金利や10年固定金利の場合、金利の固定期間(5年や10年)が終わった後の金利優遇条件の違いに注意しなければならない、というのが前回の結論でした。例えば10年固定金利で金利が0.5%と同じ銀行であっても、10年経過後の金利優遇が▲0.8%のところもあれば、金利優遇が▲1.6%のところもある、という例を前回はお見せしました。この場合、当然10年経過後の金利優遇が▲1.6%の方が有利になるわけです。

全期間固定の場合

上記のように5年固定金利や10年固定金利等のいわゆる「固定期間選択型」タイプではその固定期間が終わった後の金利優遇がどうなっているのか、に注意しなければなりません。では変動金利や全期間固定金利タイプではどうなるのでしょうか?

全期間固定金利の場合には一般的には基準金利=適用金利となり、金利の優遇幅という考え方はありません。例えば三菱東京UFJ銀行の2017年2月の全期間固定金利(返済年数31年~35年の場合)は1.29%となっています。みずほ銀行の2017年2月の全期間固定金利(返済年数31年~35年の場合)は1.55%で、キャンペーンで最大▲0.4%金利の値引きがあり、最優遇金利は1.15%となりますがこの金利は返済終了まで続きます。このように全期間固定金利はシンプルで、金利優遇幅やその期間を考えずにすみます

変動金利の場合

変動金利の場合、一般的には返済開始から終了まで金利優遇幅が同じ「全期間優遇」が一般的です。例えば三菱東京UFJ銀行の場合、基準金利2.475%から最大で▲1.85%の金利優遇を受けた0.625%が適用金利(最優遇金利)となっていますが、この▲1.85%という金利優遇は返済が終了するまで基本的には変化ありません。三菱東京UFJ銀行の基準金利が今から1%上昇し、3.475%となった場合、そこから1.85%を引いた1.625%が適用金利になるということです。

住信SBIネット銀行の変動金利は基準金利2.775%から▲2.328%の金利優遇を受けた0.497%が適用金利(最優遇金利)となっています(新規借入の場合の金利、借り換え用は0.447%)が、同じようにこの▲2.278%の金利優遇は返済終了まで変わりません。基準金利が1%上がって3.775%になった場合、そこから2.278%を引いた1.497%という適用金利になるということです。

三菱東京UFJ銀行の金利が1%上がる時には、きっと住信SBIネット銀行の金利も1%上がっているはず、と仮定して変動金利タイプの比較をすれば、結局、今の金利が低いもの(厳密にはトータルコストの低いもの)を選べばよいということになります。つまり変動金利の場合も商品の比較はシンプルだと言えます。次回は変動金利でもちょっと特殊な金利の決め方をしている新生銀行を例に挙げて、金利優遇条件の違いが返済額に与える影響を解説します。

※なお、各金融機関の金利は、一般的には市場の金利と連動するので、世の中の金利が上がれば各金融機関の金利も上がります。しかし金利を決める際には「金融機関のコストや収益等」も考慮して決めるので世の中の金利が上がっていなくても金利が上がる場合もありえます。つまり他行の金利は上がらずに自行の金利が上がることは論理上ありえますが、借入先を決める際の金融機関の比較においてはそこまで考慮するのは難しいので、A銀行の変動金利が1%上昇するならB銀行の変動金利も1%上昇すると仮定して進めるとよいでしょう。

弊社株式会社FPアルトゥルでは住宅ローンのコンサルティングを実施しています。新しく住宅ローンを組む場合はもちろん、住宅ローンの借り換えコンサルティングも実施中。金利優遇条件の違いも踏まえ、総合的に間違いやすい点を熟知したプロのアドバイスを受けられます。住宅ローンをプロに任せるという選択もご検討ください。

株式会社FPアルトゥル

井上光章

 
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