住宅ローンコンサルティングを行っている株式会社FPアルトゥルの井上です。前回は基準金利と適用金利について解説しました。基準金利から金利の優遇を受けて適用金利が決まるわけですが、今回は「金利の優遇」の2種類についてそのどちらが有利になるかを考えていきます。

  • おさらい:適用金利=基準金利-金利優遇という関係
    住宅ローンの金利には「基準金利」(「店頭金利」)と呼ばれるものと、「適用金利」と呼ばれるものの2種類があります。例えばソニー銀行の変動金利は基準金利が1.849%で適用金利は0.499%(変動セレクト住宅ローンの場合)となっています。この場合金利の優遇が1.4%あるということになります。適用金利(実際に使われる金利)=基準金利(定価の金利)-金利優遇、という関係です。
金利の値引き体系は2種類ある
この金利優遇には2つの種類があります。借入期間の全期間に渡って同じ金利幅で優遇される方式(全期間優遇タイプ)と、当初の数年間は金利を大きく引下げるが、その後の優遇は小さくなる方式(当初期間優遇タイプ)の2つです

例えば三井住友信託銀行の借り換え用の10年固定金利を例に取って解説します。全期間優遇タイプの適用金利は0.925%です。これは基準金利2.80%から金利優遇1.875%を引いた値です。一方、当初期間優遇タイプの場合の適用金利は0.50%です。これは当初10年間の金利優遇が2.3%になるためですが、11年目以降の残り期間は金利優遇が1.4%と小さくなります。

どちらが有利になるか
では、この場合どちらが有利になるのでしょうか?11年目以降は変動金利を選ぶとし変動金利の基準金利は今と同じ2.475%だったと仮定します。全期間優遇の場合、当初10年の金利は0.925%、11年目以降が0.60%(=2.475%-1.875%)の変動金利となります。当初期間優遇の場合、当初10年の金利は0.50%、11年目以降の金利は1.075%(=2.475%-1.4%)の変動金利となります。

今回は3,000万円ちょうどを借り換えるという仮定にし、借り換え後の返済期間は33年だったと仮定しましょう。下表のように、全期間優遇の方が総返済額では小さく有利だと言えます。当初10年間の毎月返済額は当初期間優遇の方が有利になるのでそちらを選ぶという選択ももちろん可能ですし、残り返済年数が長くても、15年後に退職予定で、退職金で住宅ローンを繰り上げ返済できそうだ、というような場合には当初期間優遇を選ぶ方が合理的な場合もあります。 

今度は借り換え後の返済期間が23年だったとしましょう(返済金額は3,000万円とします)。今度は当初期間優遇の方が総返済額は小さくなっていて有利だと言えます。11年目以降の金利が高い期間が短くなるからですね。
 

このように当初期間優遇と全期間優遇のどちらが有利になるか、は残りの返済年数が何年になるかで結果は違ってきます。つまり、どちらが有利になるかはその人の条件やライフプラン次第ということになります。

次回は、違う銀行同士の金利優遇条件を加味した比較をまとめたいと思います。

弊社株式会社FPアルトゥルでは住宅ローンのコンサルティングを実施しています。新しく住宅ローンを組む場合はもちろん、住宅ローンの借り換えコンサルティングも実施中。金利優遇条件の違いも踏まえ、総合的に間違いやすい点を熟知したプロのアドバイスを受けられます。住宅ローンをプロに任せるという選択もご検討ください。

株式会社FPアルトゥル

井上光章

 
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