木造住宅は築20年を経過すると、その建物の価値はほぼゼロ、土地のみの価格で取引されるといわれます。
そのような物件を購入後、雨漏りなどの瑕疵が発見された場合、売主に瑕疵担保責任を負ってもらうことは可能なのでしょうか?
ここでは、中古住宅購入時の瑕疵担保責任についてご説明します。
■瑕疵担保責任とは?
「瑕疵担保責任」とは物件に隠れた不具合(瑕疵)があった場合、売主が買主に対してその不具合の修理などの責任を負うことです。
ここで重要なのは、その不具合が「隠れた」ものであるという点です。
住宅の不具合は表面上に現れるものばかりではありませんね。
たとえば外壁や屋根などから徐々に染みこんでくる雨漏りや、ひそかに進行しているシロアリ被害は、初期段階であれば普段の生活への影響はありませんから、売却時に売主も気づいていないことがほとんどです。
このような売主も気づいていないような不具合を「隠れた瑕疵」といい、瑕疵担保責任の対象になります。
逆に、売主があらかじめ認識していて、「物件状況確認書・付帯設備確認書」に記載し買主に伝えている不具合は「隠れた瑕疵」とはされず、責任の対象にはなりません。
■瑕疵担保責任を負ってもらう条件とは
不動産取引では、契約時に瑕疵担保責任を負う期間の取り決めを行います。
中古物件の場合、売主が不動産業者であれば、引渡しから最低2年間と宅地建物取引業法で定められています。
2年以上の期間にする特約を結ぶことはできますが、それより短い期間にする特約を結ぶことはできません。
個人が売主の場合は、特に期間の定めはなく、引渡から3ヶ月間とするのが一般的です。
契約で定められた期間内であれば、買主は建物の査定価格がほぼゼロの物件であっても、瑕疵担保責任の履行を要求できますし、売主はそれに応える義務があります。
ただし、築20年以上の古い物件でかつ個人が売主の場合は「瑕疵担保責任免責」を契約に盛り込めます。
これは現状有姿で引渡し、売主が瑕疵担保責任を負わないというものです。
この場合は、住みだしてから不具合が見つかったとしても、原則、売主に修理などの対応を要求することはできません。
■まとめ
中古物件に関する瑕疵担保責任は、売主が不動産業者か個人かで変わってきます。
さらに築20年以上の物件であれば、個人が売主の場合、瑕疵担保責任免責を適用することも可能です。
売買契約締結時に瑕疵担保責任の期間をしっかり確認して、トラブルを未然に防ぐよう心がけましょう。