住宅ローンの残債がある場合でも、残債より高額で売れるなら住宅の売却は可能です。
しかし残債より安くなる場合、差額を現金で補てんできなければ基本的に売却はできません。
それでは、「このままでは返せない」と思った場合はどうすればよいのでしょうか?
ご紹介していきます。
■支払いが遅延すると、競売の対象に
住宅ローンが残っている家には、抵当権が設定されています。
抵当権は借主がローンを返済できなくなった場合、貸主が物件を差し押さえる権利です。
住宅ローンの返済が滞ると、裁判所によって物件が差し押さえられ、競売にかけられます。
競売による売却金額が、貸主への返済にあてられるわけです。
もちろん物件のスペックによって異なりますが、一般的に競売の売却金額は、仲介売却の7割程度にしかなりません。
売却額から残債を引いてもマイナスになる場合、家を失ったうえに多額の借金が残ることになります。
場合によっては、自己破産申請が必要になります。
■競売手続き前に任意売却を
任意売却とは、債権者である金融機関の同意を得て、住宅ローンの残債より安い金額でも物件を売却できるようにする不動産取引の方法です。
競売とは違い、市場価格に近い金額で売却できます。
ローンの残債が少しでも減れば、生活再建しやすくなるので助かりますよね。
差し押さえとは違うので、引越しなどでもある程度融通が利きます。
うまく交渉すれば、売却額の中から引越し代を手もとに残せるケースも。
通常の売却に近い取引なので、ご近所に状況を知られる可能性も低くなります。
ただし任意売却をしたいなら、あえて3か月程度ローンの返済を止めるなどの条件を満たさなければなりません。
信用情報機関に記録が残ってしまい、数年間は新たなローンが組めなくなります。
■まとめ
返済ができなくなることを悟ったら、早めに対策を考える必要があります。
競売手続きが一定段階まで進んでしまうと、任意売却もできません。
少しでも有利に売却することが、家族の生活を守ることにつながります。