相続した財産の内容が、不動産とわずかな現金だけ。
こういったケースはごく一般的です。
現金の遺産は分割に手間がかかりません。
しかし不動産に対して相続人が複数いる場合、何らかの形で分割する必要があります。
ここでは実際の相続で不動産を分割する方法をご紹介していきます。
■4つの遺産分割方法
・現物分割
相続した不動産を、相続人の人数で分割することです。
土地と建物など、登記上の区分で分けるほか、土地を測量して分筆するという方法もあります。
ただしこの場合は測量と登記の費用を払わなければなりません。
現物分割なら、不動産を現状維持したまま公平に分けられるというメリットがあります。
分筆によって相続税評価額が下がり、相続税額が抑えられるケースも少なくありません。
もちろん評価額が下がれば売却額も下がるため、注意が必要です。
・代償分割
相続人のうちひとりが不動産を所有。
ほかの相続人に対して相続財産相当分を現金で支払う方法です。
これなら公平に分割できますが、多額の現金が必要です。
適正な不動産の評価額を設定するには、専門家のアドバイスが必要になることもあります。
・換価分割
不動産を売却し、売却額を相続人で分割する方法です。
相続人の全員が売却金額に納得しなければならないため、難航するケースも。
あらかじめ、売却額の妥協点について話し合いをしておきましょう。
売却前には、いったん相続財産の所有権移転登記を行わなければなりません。
相続人の共有名義とする方法と、そのうちのひとりの単独名義にし、売却後に他の相続人に代償金を支払う方法があります。
購入額より売却額が多いと、譲渡所得税の対象となることがあります。
・共有分割
相続人全員で共有名義とする方法です。
不動産を維持したまま、公平に分割できるという点がメリットです。
ただし、将来的に相続人の数が増えると売却が難しくなるという問題も。
売却を前提とした換価分割では問題ありません。
■まとめ
不動産以外に財産があまりない場合、遺族が揉めるケースは山ほどあります。
大切な家族が争わないために、生前にはっきりと意思を伝えておくことは大切。
また、あらかじめ売却して現金化しておくという方法も検討してみてはいかがでしょうか。