開業時から一緒に働いてきた部下の男性が病気を患い退社することになったのです。
その男性は独立前の会社から私に付いてきてくれた人物で、開業後のハ-ドスケジュ-ルが続く中、独学で目標としていた宅地建物取引主任者(現、宅地建物取引士)の資格を取得した人物です。私が初めて重要事項説明を任せた時のその男性の笑顔は18年経った現在もしっかりと覚えています。本当に営業センスが良く、大きな期待を寄せていた社員だっただけにショックでした。
開業前はうまく売上が伸びず、数字が低迷することを十分に想定した上で、常に手元に貯えておくべき資金を手堅く試算していました。しかし、まさか最も大切なパ-トナ-をわずか1年で失うことになるとは夢にも思いませんでした。
私の2年目以降の事業展開は、集客に有利な路面店舗を都心の駅前に出店することでしたが、この想定外の出来事を機に軌道修正することにしました。
開業後1年間で学んだことは、想定外の問題が起こる可能性を常に念頭に置き事業計画を立てることの重要性です。常日頃から弛まぬ努力を続けることにより想定外の良い出来事が起こる可能性がある反面、悪い出来事が起こる危険性もあるということです。
少し長くなりましたが、実際に1年間の事業計画を考えてみましょう。
(a)1カ月目から3カ月間の業績予測 ①契約件数②売上高③利益(累積)
(b)4カ月目から3カ月間の業績予測 ①契約件数②売上高③利益(累積)
(c)7カ月目から3カ月間の業績予測 ①契約件数②売上高③利益(累積)
(d)10カ月目から3カ月間の業績予測①契約件数②売上高③利益(累積)
先ず、四半期毎に業績予測を立てます。内容としては①契約件数②売上高③利益(累積)の順で出来るだけ詳しく書き出してください。①契約件数と②売上高に関しては、あなたがタ-ゲットとする客層、価格帯を十分に考えた上で売買○件、賃貸○件で売上高○○○万円という感じに具体的に書いてください。③利益(累積)に関しては、第12話(前回記事)で考えた損益分岐点を前提に試算し、必ず累積額を記載してください。
次に、想定外の問題が起こり売上高が低迷した場合を想定してみましょう。
例えば(c)7カ月目から3カ月間の期間で売上高が20%減の月が2月続いた場合、40%分の累積赤字をそれまでの③利益(累積)から補填しても、あなたが計画する2年目以降の事業展開が可能かどうかを試算してください。
もし、2年目以降の事業計画に影響するようであれば、その時点で軌道修正や営業戦略の練り直しが必要になるということです。
では、次のチェックリストを使い実際に書き出してみてください。
【チェックリスト】
(a)1カ月目から3カ月間の業績予測 ①契約件数②売上高③利益(累積)
(b)4カ月目から3カ月間の業績予測 ①契約件数②売上高③利益(累積)
(c)7カ月目から3カ月間の業績予測 ①契約件数②売上高③利益(累積)
(d)10カ月目から3カ月間の業績予測①契約件数②売上高③利益(累積)