「不動産営業 独立大作戦」 池田浩一
「いつかは独立」と考える不動産会社の社員は多い…
しかし、何の考えもなしに独立できるほど甘い世界ではない。
成功するためには社員であるうちにできる準備をこっそりしておこう。20年以上不動産会社を経営している池田浩一氏が社員のうちにやっておくべき独立までのノウハウを伝授する。
今回は、独立後の1年間の事業計画について実例を交えながら解説してもらった。(リビンマガジンBiz編集部)
目標の倍を売り上げたが…
今回は具体的に開業後1年間の事業計画を立ててみましょう。事業計画を立てる上での一番のポイントは2年目以降の事業展開を見据えた計画を考えることです。当然のことですが、売上げの低迷や、想定外のトラブルが発生した時には事業計画の見直しや軌道修正が必要です。
ここで私の体験談をご紹介しましょう。
私が独立した際は、開業直後から売上げが順調に伸び続けました。結果的に1年間で事業計画の2倍を超える利益を残すことができました。私は分譲マンション約50室の整理案件を基に、開業後1年間の具体的な事業計画を立てました。これは独立する前に新規開拓した案件です。事業計画の軸となる売上高に関しては、50室の売却により得られる報酬額(仲介手数料)の50%を両直(りょうちょく)、50%を分かれ(わかれ)で試算しました。具体的には、第8話(こちらから)でも触れましたので参考にしてください。
(注)両 直⇒売主、買主双方から仲介手数料を得る報酬形態
分かれ⇒売主、買主何れか一方から仲介手数料を得る報酬形態
私の開業時は、現在ほどはインタ-ネット普及率が高くはなかった為、販売活動は、月3万部の広告配布(折込とポスティング)と週末2日間のオ-プンハウス実施、そしてレインズによる同業者への情報公開が主なものでした。
そして、1年間の目標数字の約50%を達成した開業から約半年後に地元の買取業者から15室の買受依頼を受けることができました。結果的にこの買受依頼の案件が売上げを想定外に伸ばすきっかけとなりました。買取業者への売却契約が全て両直であったばかりか、更にリフォ-ム後の再販依頼を全て受けることができた為、開業時から媒介を受けていた物件と並行して販売活動を行うことができました。同時に購入頂いたお客様からの紹介案件や独立前に開拓した情報元からの新規案件が重なり、開業から1年後には目標数字の2倍を超えていたのです。全く想定外のことでした。
自慢話をしたいわけではありません。実は本当にお話したい内容はここからです。
開業からちょうど1年後、もう1つの想定外の出来事が起こりました。