「不動産営業 独立大作戦」 池田浩一
「いつかは独立」と考える不動産会社の社員は多い…
しかし、何の考えもなしに独立できるほど甘い世界ではない。
成功するためには社員であるうちにできる準備をこっそりしておこう。20年以上不動産会社を経営している池田浩一氏が社員のうちにやっておくべき独立までのノウハウを伝授する。
前回に引き続き独立後のパートナー選びについて解説してもらった。(リビンマガジンBiz編集部)
画像=写真AC
今回はあなたの独立後の事業をサポ-トしてくれる各界の専門家に関するお話です。宅建業者が関わる代表的な職種には、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、建築業者、内装業者などが挙げられます。
それぞれの特徴とパートナー選びに何を気をつけるべきか考えていきましょう。
①弁護士
宅建業者と弁護士の一番の接点は法律相談です。相談の目的はトラブルの未然防止であったり、既にトラブルや紛争中の案件の対応だったりします。
宅建業者の立場としてお客様から相談を受ける機会もあれば、あなた自身がトラブルや紛争の当事者になってしまうこともあるかも知れません。
賃貸経営や管理業務を行う場合には、入居者の家賃滞納や迷惑行為、原状回復を巡るトラブルで解決策を相談することもあるでしょう。
経済的事情から法的整理を必要とする人、相続を巡る遺産分割協議や離婚による財産分与を必要とする人から相談を受けることがあれば、宅建業者として信頼できる弁護士を紹介することになります。また私自身もそうですが、弁護士から任意売却、遺産分割や財産分与を目的とした不動産の調査、査定、売却を依頼されることも、経験を積むとともに増えるでしょう。
弁護士との関係を考える上で絶対に覚えておいて欲しいことがあります。それは、弁護士は法律の専門家であり不動産の専門家ではないということです。
弁護士のところに持ち込まれる案件には不動産に関わるものが多いです。彼らは、迅速かつ適切な調査、査定、売却ができる優れた宅建業者の存在を必要としています。信頼できる弁護士との関係構築には、あなた自身が宅建業者として頼られる存在であることが大切なのです。この点をしっかりと覚えておいてください。
②司法書士・土地家屋調査士
宅建業者が最も関わりの多い専門家が司法書士と土地家屋調査士です。
所有権移転や担保権設定など不動産の権利の登記を行う専門家が司法書士、土地や建物の調査や測量をもとに、所在、面積、構造など不動産の表示に関する登記を行う専門家が土地家屋調査士です。
売買案件を取り扱う宅建業者であれば、司法書士は必ず関わる存在となりますし、測量を伴う案件や新築建売業を行うのであれば土地家屋調査士との関係も必須です。
司法書士や土地家屋調査士との関係を考える場合、必ず案件毎の個別事情に応じた臨機応変な対応ができる人をパートナーに選んでください。
例えば任意売却や相続案件、離婚案件などでは、権利関係者の相互関係を十分に理解した上で、利害の調整は勿論、感情面にも配慮した慎重な対応が必要になります。目に見えない糸で複雑に絡み合った関係を、時間を掛けて解きほぐすような案件では、宅建業者と司法書士、土地家屋調査士との絶対的な信頼関係が必要です。そのためには、あなた自身がパートナーから信頼をおかれる専門家であることが大切です。