「不動産営業 独立大作戦」 池田浩一
「いつかは独立」と考える不動産会社の社員は多い…
しかし、何の考えもなしに独立できるほど甘い世界ではない。
成功するためには社員であるうちにできる準備をこっそりしておこう。20年以上不動産会社を経営している池田浩一氏が社員のうちにやっておくべき独立までのノウハウを伝授する。
憧れだけでは進められない、開業までの許認可について学びます。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
今回は、独立後の商売に繋がる売り情報、買い情報などの新規開拓の準備をテ-マにして、お話します。分り易く表現するならば「飯の種」を作っておくということになります。
前提として第4話でお話しました(a)業務内容(b)取扱案件(c)活動エリア(d)独立後の会社と自分のウリを下記のように設定してみましょう。
(a)業務内容 ⇒ 売買仲介
(b)取扱案件 ⇒ 居住用物件(土地、一戸建、マンション)
(c)活動エリア ⇒ 活動拠点を絞り込んだ地域密着型
(d)独立後の会社と自分のウリは何かを絞り込む
⇒ 地主、弁護士、債権者などから市場公開前の情報を入手し、他企業にない希少性の高い案件をお客様に提供可能。
最初にあなたの独立開業時の状況を具体的にイメ-ジしてみて下さい。
綺麗な店舗にピカピカのデスク、そして「祝開店」の花束。友人や取引先もお祝いに駆けつけてくれています。あなたは「代表取締役」と書かれたできたてホヤホヤの名刺を差し出す瞬間の心地良さに酔いしれています。
しかし半月後、あなたはふと気付きます。「何したらいいんだろう」と。これでは絶望的です。そして、困惑している間に1カ月が経過してしまいます。私の経験上、独立後3カ月で会社を軌道に乗せられるかが勝敗の分かれ目です。
会社員の立場ならば、物件調査、アポ取り、契約準備など、出社をするやいなやあなたを待っているたくさんの仕事があります。考える間もなく、自然な流れで業務を行っているはずです。
不動産業界では所有者から直接売却依頼を受けた物件(自社物:じしゃぶつ)がなければ、レインズなどで情報公開されている他業者の物件(業物:ぎょうぶつ)をお客様に根気強く紹介し続けることになります。やることがなければ、とりあえず業物に集中している人もいるでしょう。
でも、それも独立後すぐに物件を紹介できる見込客があれば、の話です。業物を掲載した広告や「売り物件求む」のチラシを何万枚と配布しても、社名も周知されていない新規業者では見込客獲得や売却依頼を受けるまでに相当の時間が必要です。そのためにも、独立後ではなく独立を決意したこの瞬間から新規開拓の準備を進めることが重要なのです。
特に将来的な売却依頼に繋がる情報元は非常に重要です。業界の慣習としては独立前の企業で得た案件は、後任者に引継ぎするのが一般的です。
>>2ページ目:独立に向けた新規開拓の準備は「こっそり温める」?(続き)