「不動産営業 独立大作戦」 池田浩一
「いつかは独立」と考える不動産会社の社員は多い…
しかし、何の考えもなしに独立できるほど甘い世界ではない。
成功するためには社員であるうちにできる準備をこっそりしておこう。20年以上不動産会社を経営している池田浩一氏が社員のうちにやっておくべき独立までのノウハウを伝授する。
憧れだけでは進められない、開業までの許認可について学びます。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
前回、宅建業者として独立するための要件として①宅建免許の取得と②営業保証金の供託のお話をしましたが、宅建免許の取得要件の1つに「専任の宅地建物取引士の設置義務」というものがあります。
宅地建物取引士(宅建士)とは、宅地建物取引業法に基づく国家試験に合格し登録を受けた者を指します。不動産業者が宅建免許を取得して業を行うための要件として、1事業所5名の従業者に対し1名以上の宅建士の設置が義務付けられています。
ここで質問です。
あなたは宅建士の資格をお持ちでしょうか。
前回、宅建業者として独立することの重要性を説明しましたが、現在の法律の定めでは、あなたが仮に宅建士の免許を保有していなくても、他の従業者の中に資格者がいれば、宅建業を行うことは可能です。また、営業という立場で考えれば、宅建士の資格がなくても営業センスが良く、人一倍の営業努力を継続できれば、十分な営業数字を上げることも可能です。これまでのあなた自身がそうだったかもしれません。
しかし、これからは違います。
あなたがこれまで驚異的な営業数字を上げてきた実績があったとしても、それは1人の営業社員としての能力であり、何よりあなたの勤務する会社の信用によるところが強いということを忘れてはいけません。独立を決意したあなたには代表者として組織を運営していくだけの実力が要求されるのです。不動産業界での活躍を夢見る若者や他の従業者から見たあなたの存在は「自分も将来こうなりたい」と思わせるだけの魅力を持った憧れの存在(シンボル)であることが必要です。
もし、現在のあなたが宅建士の資格を保有していなくても構いません。
宅建士の資格試験は1年に1回実施されます。厳しい不動産業界で独立し成功したいという熱い思いを持ったあなたであれば、必ず将来は取得できるでしょうし、何よりも他の従業者の手本となるような存在でありたいと強く望む、あなた自身の姿勢が大切なのです。
著名な方の経営哲学に「自分自身ができなければできる人を使えば良い」という考えを目にしますが、不動産業界における宅建士という立場に関しては、その考えは当てはまらないというのが不動産業界で生き抜いてきた私自身の考えです。
私がなぜこれ程までに宅建士の立場にこだわり、独立を決意したあなたに宅建士の資格取得を薦めるのか、ここからの説明でその理由がご理解頂けるものと思います。
国の法律(宅地建物取引業法)が宅建業者に一定数の宅建士の設置を義務付ける1番の目的は、不動産に関わるトラブルから一般消費者を守ることにあります。
>>2ページ目:「宅建士だけが行える3つの業務」あなたは答えられますか?(続き)