「不動産営業 独立大作戦」 池田浩一
「いつかは独立」と考える不動産会社の社員は多い…
しかし、何の考えもなしに独立できるほど甘い世界ではない。
成功するためには社員であるうちにできる準備をこっそりしておこう。20年以上不動産会社を経営している池田浩一氏が社員のうちにやっておくべき独立までのノウハウを伝授する。
第三者の目から、自分の現在地を知る方法について解説してもらった。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
前回、独立までの最初の一歩「3つの分析」を行って頂きましたが、そのなかでも特に
(a)現在の自分のウリは何か
(b)独立後の会社と自分のウリは何か
2つの要素を、ここでもう一度思い浮かべて下さい。
その上で、今回のテ-マ「第三者の立場から見た自分自身の強みと弱み」を考えてみましょう。
独立後、不動産業界で成功するためには、あなたが考える自分と会社のウリが世の中から求められるもので、お客様に喜びを与え、そしてあなたに利益をもたらすものでなくてはいけません。それが事業として成り立つということです。
まず、第三者から見たあなたの強みはなんでしょうか。
決して難しく考える必要はありません。分りやすく言えば、上司や同僚、或いはお客様から褒められたり、喜ばれたりすることを考えればいいのです。
例えば、対応が速い、几帳面、話し方が丁寧、資料作成が上手いなど何でも構いません。皆さんに知って頂きたいことは、自分では特に意識せず「普通」だと感じていることが、周りからは「特別」なこととして評価されたり喜ばれたりすることは、「能力」「才能」だということです。
私の場合、FAXなどで送る文章が相手から褒められる機会が多いことに気がつきました。それも報告書や査定書のように構成に時間を掛けた特別な文章ではなく、伝達すべきことを普通に書いたFAX送信表や説明書であったことが印象的でした。
そして、お付き合いのある弁護士の先生から「相手に対する気配りや心配りを感じさせる文章は、池田さんの姿勢そのものだね。そこ自信持っていいよ」と、言われたことが本当に嬉しかったのを今でも覚えています。
当時の私に衝撃的な気付きを与えてくれたのです。それ以来、人と接する機会の多い営業という仕事の捉え方が変わりました。常に「相手に求められていることが何か」ということを意識して行動するようになったのです。
不動産の場合、物件を探すという1つの行為にも、お客様には様々な動機や目的があります。同様に売るという行為も同じです。
私が得意とする弁護士からの依頼案件でも、自分自身に求められている目的は何か。このことを一番に考えた上で、自分の強みである気配り、心配りの行き届いた仕事をするように努めています。
例えば、不動産の調査や査定の場合でも、経済的事情による任意売却なのか、相続による遺産分割なのか、離婚による財産分与なのかといった依頼目的に応じ、依頼者、弁護士、権利関係者其々の立場を考慮した適正価格を算定し報告書(査定書)を作成するようにしています。前回お話した「3つの分析」の自分のウリを周囲に喜ばれ求められる真の実力へと導く作業です。
次に、第三者から見た弱みは何でしょう。これは、自分では普通に立ち振る舞っているつもりなのに、会社や上司から叱られたり、お客様を不愉快にさせてしまったり、何度も同じミスを繰り返してしまうといった内容です。
>>2ページ目:長所が短所になることも。第三者目線の自己分析(続き)