「不動産営業 独立大作戦」 池田浩一
「いつかは独立」と考える不動産会社の社員は多い…
しかし、何の考えもなしに独立できるほど甘い世界ではない。
成功するためには社員であるうちにできる準備をこっそりしておこう。20年以上不動産会社を経営している池田浩一氏が社員のうちにやっておくべき独立までのノウハウを伝授する。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
これからのお話は独立を決意したあなたにとって非常に重要な内容になってきます。
独立のための「3つの分析」と名付けましょう。この分析の結果によって、独立後のあなたの運命が決まるといっても過言でないほど、重要なテ-マとなります。前後編の2回に分けて説明したいと思います。
<3つの分析>
(1)現在の会社の「ウリ」は何か
(2)現在の自分の「ウリ」は何か
(3)独立後の会社と自分の「ウリ」は何か
(1)現在の会社の「ウリ」は何か
まず現在所属している会社の「ウリ」を考えてみてください。
この分析の一番の目的は会社のストロングポイント(ウリ)とウィ-クポイント(弱点)を正確に認識することにより、自分自身の営業スタイルを客観的に判断することにあります。
独立を決意する程の経験を積んだ人であれば、自分が意識する以上に、これまで学んできた会社の営業スタイルが体に染みついているものです。
よく独立したばかりの若い経営者と取引する機会があると、独立前にどの企業で働いていたかが分かることがあります。不動産業は物件調査、物件評価、資金計画などの業務を通じ、お客様の生活と密接に関わることが多い仕事であるため、経験を積めば積むほど営業上のクセが出やすく、ごまかしがきかないようになります。
よく業界内で「〇〇不動産の営業社員は…」という表現をすることがありますが、売買でも賃貸でもある程度の組織規模になると、1人ひとりの営業上のクセが似通っています。これは良い点だけではなく、悪い点にも当てはまります。業務上で重大なミスを犯すポイントも不思議なくらい似ているのです。
自分自身の営業スタイルを客観的に判断した上で、一番の強みをどんどんと伸ばし、自分では気づきがたい営業上の悪いクセ、弱点を克服するためには、現在の会社のストロングポイントとウィ-クポイントを正確に分析することが非常に重要な意味を持つのです。この分析を怠たり、勢いだけで突き進んでしまうと、独立から数カ月を経て、スタ-トダッシュの加速が弱まった頃に壁にぶち当たり、自力ではスランプから抜け出せなくなります。
私の周りでも独立して2年程で廃業してしまった知人がたくさんいますが、彼らに共通していた点は、独立前に在籍していた企業のウィ-クポイントをそのまま引きずっていたことです。長年営業している企業であれば、弱点を補うだけの耐力が備わっていますが、独立したての耐力のない企業ではそうはいきません。
>>2ページ目:独立後、ウィークポイントを引きずらない。自己分析方法(続き)