こんにちは、ファイナンシャルプランナーの飯田敏(いいださとし)です。
不動産会社での現場経験は10年を超えます。
現在は、㈱住まいと保険と資産管理で一般の方向けに
ライフプランにまつわるコンサル業務をおこなっています。
今回は売買契約からの始まり(後編)をお伝えします。
後編の今回は、
・物件状況報告書(伝えるべき告知事項や引き継ぐ事項)
からお伝えします。
*物件状況報告書
知っている事実関係の告知をするものです。
例えば、
【建物】
雨漏り、シロアリの害、建物の腐食や傾斜、給排水の故障や漏水、石綿使用の有無など。
【土地】
土壌汚染、敷地地中内残存物、境界不明、隣地からの越境、隣地への越境、
敷地内に他人の配管埋設、埋設管の他人の敷地経由、地盤沈下など。
【周辺状況】
電波障害の有無、近隣の建築計画、騒音、振動、近隣との申し合わせ事項、
浸水の履歴、反社会勢力の事務所、構成員の居住など。
【心理的瑕疵(かし)】
周辺を含む事件、事故、近隣トラブル、ゴミ屋敷、火事、自殺など。
これらに該当する告知事項があるのを知りながら、伝えずに契約をすると後に買主が知るところとなった場合には、
トラブルに発展する可能性があります。
ケースによっては、錯誤により契約が無効となり、損害賠償請求を受けるような事態となるものもあります。
確かに売主にとっては、値踏みされる可能性が高くなるような、不利な事項を伝えることは気の重いことです。
躊躇するのも無理はないことでしょう。
しかし、それでも都合の悪い事情を隠して契約を結ぶことは、おすすめできません。
紛争となって跳ね返ってきた場合、自分にとっても非常に危険であることを強く認識しておくべきでしょう。
建物や設備が古く、機能に関して責任はとても負えないと思われる場合は、
買主が同意すれば、売主は責任を負わない旨の免責特約を付けて契約することも可能です。
ただ、その場合は、契約前の売り出し段階から、公表しておくことが重要です。
売主の責任において対応する条項
境界の明示義務
売主は、引渡しまでに境界を明示しなければならない旨の条文があります。
境界が不明の場合には、土地家屋調査士に依頼をして、
費用をかけてでも境界標を設置しておくことが望ましいでしょう。
担保権等の抹消義務
売主は残代金・引渡しまでに抵当権などの担保権を抹消する義務を負う旨の条文があります。
受け取る予定の残代金で借入を完済する場合、その旨を特約として、契約事項に盛り込んでおくことがセーフティです。
現金購入の買主の中には、担保が消えていないと残代金を支払えないと心配する人もいます。
ちなみに抵当権の抹消登記に関する費用は、売主負担となります。
登記識別情報、登記済権利証の提出義務
残代金引渡し日には、登記識別情報もしくは登記済権利証を提出する義務があります。
所有権移転登記に関する費用は、買主負担となります。なるべくなら契約日に持参し、
書類に問題が無いかを関係者に確認してもらうことをおすすめします。
その3【手付金受領】
契約が無事に調印された証として、手付金を受けとります。
売主と買主が相対で同席して契約する場合、現金または預金小切手となります。通常は、振込では行いません。
手付金は売買代金の5%から10%程度に設定されることが慣習として多いようです。
現金の場合は、必ず数えて金額を確認しましょう。
領収証を発行して売買は完了します。この際の領収証は、仲介する不動産業者が準備してくれます。
最後に、契約締結の報酬として、仲介手数料の一部(半金程度)を不動産業者に支払うケースが通常です。
残りの分は残代金引渡し時に支払います。
契約で仕事半分、業務完了で残り半分といったイメージです。
次回は、契約まわりの豆知識をお伝えします。お楽しみに!