J-REITの個別銘柄はどんな不動産に投資しているかを見よう!
前回は、まず初心者がJ-REITへの投資を考えるときに手始めに検討すべき商品であるREITファンドについてまとめました。
では、すでにREITファンドを保有している人が、
あらためてJ-REITの個別銘柄を買おうとする際に知っておくべきことをまとめましょう。
まず知っておくべきなのは、
J-REITは銘柄ごとに組み入れ不動産が異なるということです。
立地条件や規模が似ていても、銘柄ごとに投資先の不動産が異なります。
また、銘柄ごとに組み入れ不動産(物件)の種類も異なります。
「オフィスビル」、「商業施設」、「住宅」が投資対象物件の3本柱ですが、
近年では「物流施設」に投資するJ-REITが増加傾向にあります。
実際にJ-REITが組み入れている用途別の保有不動産の金額を見てみると、
物流施設の取得価格ベースの合計額は、
2011年12月末0.2兆円
2012年12月末0.3兆円
2013年12月末1.1兆円
2014年12月末1.3兆円
2015年12月末1.4兆円
2016年12月末1.9兆円
といった具合に急増しています。
J-REITの市場全体の組み入れ不動産に占める割合も、
2011年12月末時点では物流施設は3%に満たなかったのですが、
2017年2月末時点では12.3%を占めるまでに急拡大してきています。
ちなみに、2017年2月末時点での
組み入れ不動産3本柱(オフィス、商業施設、住宅)の占める割合は、
オフィス 45.0%
商業施設 19.0%
住宅 15.9%
となっています。
このまま現在のペースで物流施設が伸びていったとすると、
近い将来には、J-REITに占める割合が住宅や商業施設と逆転するかもしれません。
要因の一つはネット通販市場の拡大
では、なぜいま物流施設が伸びているのでしょうか?
さまざまな理由があるとは思われますが、
その理由の1つに、近年のネットショッピングの急拡大が挙げられます。
もともと自前の物流施設を持たないネット系企業が、
複数社集まって物流施設をシェアするような動きが広がっているのです。
この流れは、ネット通販市場が飽和状態になったり、
信頼度が大幅に下がったりしない限り、
まだしばらく続きそうな気配です。
J-REITの個別銘柄を選ぶ際には、
このような不動産市況も考慮しながら、
安定した分配金を継続して受け取れる銘柄を選ぶべきでしょう。
そのためには、投資物件の立地条件もきちんと調べることが重要です。
以下の図表にあるように、
J-REITの組み入れ不動産の所在地は、
50%以上が東京都23区内です。
そして、関東だけで70%を占めています。
つまり、不動産の立地条件は、
都心部を中心とした良好な物件が組み入れられているわけですが、
その他の地域の物件が組み入れられていることもありますので、
銘柄ごとの保有不動産の内容はきちんとチェックすべきでしょう。
中長期的な分配金利回りの確保や、
ゆるやかな価格上昇などを期待したいなら、なおさらです。
J-REITに限らず、投資信託は中身が重要なのです。
不動産市況が今後どうなるかは正確な予測は困難ですが、
このようなJ-REIT市場の動向も注目しておくとよいでしょう。