前回のコラムでは、不動産を購入してせっかく消費税の還付を受けても、調整対象固定資産の判定により還付金の一部を返還する可能性があるということをお伝えしました。
では、その調整対象固定資産とはなんでしょうか。
調整対象固定資産の定義
調整対象固定資産とは、建物、構築物、機械及び装置、車両及び運搬具、工具、器具及び備品などのうち、一取引単位の取得価額(税抜金額)が100万円以上の資産をいいます。ただし、土地などの非課税資産や棚卸資産は調整対象固定資産には該当しません。
また、調整対象固定資産とは、消費税法上の法律用語であり、読んで字のごとく消費税の調整の対象となる固定資産ということになります。
ですので、調整対象固定資産を取得しただけで、すぐに消費税の調整が必要となるわけではありません。
消費税が還付される仕組み
消費税の納税は、課税事業者が課税売上にかかる消費税からその売上に対応する仕入れに係る消費税を控除して国に納税する税額を計算します。
売上には、消費税の係る課税売上と消費税の係らない非課税売上があり、非課税売上には預金利息や賃貸物件の居住者から受け取る賃貸収入などが該当します。
この非課税売上に対応する仕入れに係る消費税については消費税の納付税額の計算上控除することができません。(預かっている消費税がないので当然ですね)
消費税が還付される場合とは、課税売上に係る消費税よりも課税売上に対応する仕入れに係る消費税が多い場合になります。
下記のようなケースではどうでしょうか。
自販機の収入 10万(税抜)
マンションの取得 1億円(税抜)
課税事業者が上記のような取引をしたとすると、消費税の納税額の計算は
課税売上に係る消費税8千円 - 課税仕入れに係る消費税8百万 = △7,992,000円
となり、消費税の還付を受けることとなります。
しかし、上記のような計算を認めることとなると、消費税の還付を目的とした不動産の購入や建設が横行することとなるため、国税当局は一定の調整をかけています。
次回は実際の調整の内容についてみていきたいと思います。