今現在、被相続人と相続人ともに海外での居住が5年間だった場合、相続や贈与のときには居住国の税率が適用されるという5年ルールというものがあります。
ですが、この5年というものが10年に引き上げされる可能性があるという噂、聞いたことありますか?
相続税から逃れるために、5年間海外に身を置くという抜け道を防ぐために設けるものであるのは間違いありません。
では、海外移住による節税対策についてのカラクリや注意点を簡単に説明していきたいと思います。
海外移住で節税できる理由
海外移住というものが相続税や贈与税などの節税になる理由に、一部の国と日本の間の資産税の税率差が大きく影響されています。
日本では累進税率による最高税率は55パーセントであって、財産が多ければ多い人にとってはその半分以上を国に持っていかれることになるのです。
しかし、これがシンガポールなどの一部の国となれば課税がありませんので、一銭も国に持っていかれることがありません。
どうせ国に持っていかれるぐらいなら、子どもやその孫に財産を残してあげた方が得だということから、シンガポールなどの課税がない国に身を置く富裕層が増えているということなのです。
とはいえ、税金対策のためだけに日本という国を捨てたわけでは決してありません。
被相続人と相続人ともに海外に住居を持ち、5年を超えて日本の非居住者となれば、相続や贈与の際に国内財産には日本の税制が適用されますが、海外財産には当該国の税制が適用されるということになるからです。
これがいわゆる海外移住で節税ができるというカラクリになっているのです。
海外移住の際には少なからずリスクはある
節税のために海外移住する富裕層は年々増えているような気もしますが、やはりそこは日本と違い海外での生活となりますので、それなりのリスクというのは存在してくるのです。
たとえば、慣れない土地での生活はどうしても多少の困難は強いられるでしょう。
ただの旅行であれば、言葉の壁や食事など数日間なら我慢はできるはずです。
これが5年以上となればそうとはいきません。
専門の通訳やコックを雇うとなればいいのでしょうが、これが5年間となればその人たちのお給料の方が税金よりかかってしまう可能性もあるのです。
後、5年ルールの延長ということも視野に入れておかなければなりません。
5年なら我慢できると海外移住を始めた人もいることでしょう。
それがもしも途中で10年と延長になった際、そのモチベーションが後5年も持つとは限りません。
海外での生活に慣れなくて、その間に日本に帰ってきては今までの努力が水の泡になるということです。
これらのリスクはどうしても出てくることですので、そのあたりもしっかりと把握した上で節税のための海外移住を考えなければならないのです。