所有権の基本概念を理解しましょう
所有権とは、法令の制限内においてその所有物を自由に使用・収益・処分できる権利のことを言います。(民法第206条より)つまり、所有権は法によって保護されており、制限はあるものの、その権利を自由に行使することが認められているのです。制限と言いましたが、次の項目・民法207条でその部分が定められており、「土地の所有権は法令の制限内においてその土地の上下に及ぶ」とあります。これは、法令の元で合理的に制限されていると言えるでしょう。所有権は所有物に対して全面的に支配する財産権の意味合いも持ちますが、所有物は抵当権や質権の担保とされる場合も多くあります。こうなると、所有権自体がその存在を持たなくなるように感じますが、ひとたび制限が解除されると、また所有権が意味を持ち始めるのです。
所有権移転登記とはどのような手続きか
“不動売買において、所有権移転登記の手続きがきわめて重要な意味合いを持ちます。なぜなら、この登記があって初めて買主は第三者に対して自分が物件の所有権を得ていることを主張できるからです。この登記がなされていれば二重売買などのトラブルを避けることができます。
ただし、不動産所有権の移転については民法第176条において、当事者間の意思表示のみで効力を生じるとあります。つまり、物件の所有者が移動することについては、登記や引き渡しがない場合でも当事者間が合意していれば、対象としている物件の所有権が移動されたとみなされるのです。しかし、この条項のみによって所有権が移転することは極めてまれなことです。基本的に所有権の移転は、移転する時期を明確にして登記し実際に引き渡すとともに、売買で発生した代金の受け渡しをもって成立します。この移転登記については、売主と買主が共同で行うのですが、実務上は司法書士が委任状を受けて代理申請するというケースが殆どのようです。不動産売買で発生する所有権の移転と登記は、このようにして実行されるのです。”