こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの橋本秋人です。

第2回目は、二世帯住宅についてのお話です。

平成28年度税制改正において、多世代同居に係る税制上の軽減措置が創設されています。
住宅を三世代(親・子・孫)で同居するために改修する場合、そのために借入れたローン残高に応じ一定額を所得税額から5年間控除、または工事費(上限250万円)の10%を所得税額から控除するという内容です。
これは子育て支援政策の一環で、親子が同居することにより親が孫の面倒を見ることができ、出生率も上がるだろうということで三世代同居を推し進めたいという国の思惑があります。効果については見守りたいと思います。

そのような国の施策とは別に、今も昔も新築で二世帯住宅を建てる人はいます。
親と同居するため実家に戻る際に家も建て替えたい、という時にはまず二世帯住宅を考えるでしょう。
また子供世帯が親を引き取るために建替えや増築・改修をするケースもあります。

ここで、あらかじめ考えておいた方が良いことが一つあります。
それは、これから建てる二世帯住宅の将来の姿です。
具体的には、将来どちらか(または両方)の家族がその家に済まなくなった場合の対応についてです。

二世帯同居型の住宅には主に3つのタイプがあります。
① 単純同居型…玄関・キッチン・浴室=1ヶ所、トイレ=2ヶ所
② 半分離型……玄関=1ヶ所、キッチン・浴室・トイレ=2ヶ所
③ 完全分離型…玄関・キッチン・浴室・トイレ=全て2ヶ所

この中で②の半分離型の住宅を建て、後になって困って相談に来られるケースがあります。
「息子が海外転勤で2階が空いてしまった」
「息子の嫁と折り合いが悪く息子家族が出て行ってしまった。」
「建ててまもなく親が倒れ施設に入所したため、1階に誰も住まなくなった。」
「子供の誰かが同居してくれると思い二世帯住宅を建てたのに、結局誰も入ってくれない。」……

長い人生の中では、家族構成、生活スタイル、人間関係などにおいてさまざまな変化があります。
それによりどちらかの世帯が家から出ていくことは当然にあり得ることです。
その時に②のような建て方をしていると、汎用性が低くなってしまいます。
結果的に大きな家の半分は誰も住まずに空いたまま、掃除や風通しなど管理も大変です。
残った世帯の人が管理していくか、さもなければ放ったらかしで荒れ放題になります。
そして家の中に「空き家問題」が生まれます。
また、さらに将来誰も住まなくなり売却する際にも、間取りが特殊なためなかなか売れないということもあり得ます。

そうなると本当の「空き家」になってしまいます。
改修工事で対応できる場合もあります。でも多くの場合、予算やプランの問題で結局手がつけられないまま悩みだけが続きます。

一方、③の建て方は有効に転用できる可能性があります。賃貸住宅にすることも、別の身内が住むことも可能です。
前回コラムのAくんのケースも、③の究極型といえます。

検討した上で採用する、採用しないという結論にしたほうが、後で「こんなはずではなかった…」という思いにはなりません。

ぜひ建てる前に検討してください。

 
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