はじめまして、ファイナンシャル・プランナーの橋本秋人です。
長年ハウスメーカーに勤務し、住まいの新築、不動産活用、売買などの業務に携わってきました。また在職中から不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもあります。現在はFPとして、ライフプランにおけるさまざまなご相談に乗りながら、ご相談者の問題解決のお手伝いをしています。
さて第1回目は、賃貸併用住宅の事例をご紹介します。それも身内の話。
10年ほど前、親族のAくん(30代・会社員)から住まいの新築の相談を受けました。
Aくんは奥さんと子ども2人の4人家族でアパートに居住。
父が早くに亡くなり、母は独り住まいでまだまだ元気ですが、Aくん家族もそろそろ実家に戻って母と同居しようという話になり、古い実家を建て替えることになりました。
土地も100坪以上あり、広くて豪華な夢の住まいの計画開始。
ところが話を進めるうちに、一戸建ての計画は、なぜか2LDK4戸のアパートに変化したのです。
1階の2戸にはそれぞれAくん家族と母が居住。
2階の2戸はアパートとして賃貸。
資金は自己資金と日本政策金融公庫からのローン
この計画のポイント
1.敷地の広さを活かして賃貸部分をつくる → 家賃収入をローンの返済に充てられる。
2.Aくん家族と母は別住戸なのでお互いに気兼ねなく暮らせる。(スープの冷めない距離)
3.将来、家族構成や生活スタイルの変化に合わせて、住戸の使い方(自己使用・賃貸)を変えられる。
4.ローンが終われば家賃収入は将来自己年金として老後の生活費の足しになる。
5.Aくん家族が別の場所に引っ越した場合、1棟4戸まるまる賃貸アパートにすることも。
実は現在Aくんの子どもたちが大きくなり2階の内1戸を子ども部屋や荷物置き場としてAくん家族が使用中。
その間ローンの返済は少しだけ給料から支払っています。
ただし将来子どもたちが家を出ていった場合は、また賃貸に戻す予定。
大きな家を建ててもだんだん住む人が少なくなり、広さを持て余しているという悩みをよく聞きます。かつての多人数世帯から核家族化が進み、大きな家の必要性も減っています。
Aくんの計画は、可変的に住宅の利用をするという点で、この問題を解決に導く方法となりました。
4戸の部屋を、例えば
当初=Aくん1:母1:賃貸2 → Aくん2:母1:賃貸1 → Aくん2:賃貸2 → Aくん1:賃貸3 → 賃貸4
というように、状況に応じて部屋の割り振りができる訳です。
当時打合せをしながら、これは名より実をとる作戦だなあと感心したものでした。
実は私が担当した他のお客様でも、同様の考え方に基づいたケースが何度かありました。
もちろん賃貸経営は長期的な需要予測や収支計画をきちんと調査・策定しなければいけませんが、賃貸需要の見込めるエリア・土地であれば考えにおいておくのもひとつですね。
なお、併用住宅は、同じ建物に他人と一緒は絶対無理という人には不向き。
そこのところもよく検討しましょう。