橋本秋人「使える空き家ビジネスのススメ」
社会問題化する「空き家問題」は不動産業界のビジネスチャンスでもあります。そこで、空き家に関する講演やセミナーで活躍する橋本秋人さんに、空き家を取り巻くビジネスの羅針盤になるような知識を紹介していただきます。読めば空き家問題、恐れるに足らずと思える連載です。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
4.空き家を解体して更地で利用する
本コラムでは、空き家の活用手法を
4.空き家を解体して更地で利用する
の4類型に分け、前回までに1~3について解説してきましたが、今回は、最後の「空家を解体して更地で利用する」活用方法について解説します。
ここで、よく耳にするのが、「住宅を解体して更地にすると固定資産税が6倍になるから、壊さないでそのままにしておいた方が良いよ」という話です。
メディアでも、このように書いてある記事をときどき目にします。
確かに税金が6倍になってしまうと、これはたいへん!と思われる方が多いでしょう。
また、これが、空き家の老朽化が進んでも解体しないまま放置して、いわゆる「特定空家」を増加させている一因とも言われています。
しかし現実には、この話には誤りがあります。
実は税金は6倍にはなりません。
まず、固定資産税は、「固定資産税評価額」に「課税標準」をかけた金額に対し、税率をかけて算出します。
そのうち、小規模な住宅用地(200㎡まで)については、この課税標準を6分の1にするという軽減措置があります。これが、住宅が建っている土地は税金が6分の1になる、と言われている根拠です。
ところが、住宅が建っていない土地の場合でも、非住宅用地の課税標準が適用され、固定資産税評価額に対して課税標準は70%とされているのです。
つまり、住宅を解体すると16.7(=6分の1)から70に上がる、つまり約4.2倍ということになり6倍までは上がりません。
また固定資産税と同時に賦課される都市計画税の課税標準は3分の1(200㎡まで)ですから、同じく33.3→70となり、約2.1倍です。
固定資産税・都市計画税を合わせて計算すると約3.6倍にしかなりません。
更に今まで建っていた建物の固定資産税は、解体すると0になりますから、土地・建物トータルで見ると更にその差は縮小します。固定資産税評価が高い建物が建っていた場合には、解体してもほとんど税額の差がないことさえあります。
まずは税金の基本部分を誤って理解しないようにしましょう。
(※自治体によっては、更に非住宅用地の税金の特例を設けて負担の軽減をしているところもあるので、各自治体にて確認してください。)
さて、更地の活用として代表的な手法には、
・駐車場(月極、コインパーキング等)
・コンテナボックス
・材料置き場
・借地
などがあります。
「借地」は実際には建物が建築されるので更地ではなくなりますが、事業費を土地所有者が負担するのではなく、借地人が負担するため、今回のカテゴリーに含めています。