社会問題化する「空き家問題」は不動産業界のビジネスチャンスでもあります。そこで、空き家に関する講演やセミナーで活躍する橋本秋人さんに、空き家を取り巻くビジネスの羅針盤になるような知識を紹介していただきます。読めば空き家問題、恐れるに足らずと思える連載です。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
空き家の活用手法と類型
今回から、いよいよ「空き家の活用」にはいります。
前回まで解説してきた空き家の「保有」や「処分」は、どちらかというとネガティブな手法であるのに対し、「活用」はその特性を活かして資金や収益を得ようとするポジティブな手法と言えます。
まず活用方法について、以下の4類型に分けています。
1.リバースモーゲージを利用する
2.空き家を建替えないで貸す
3.空き家を建替えて貸す
4.空き家を解体して更地で利用する
1のリバースモーゲージは「活用ではないのでは?」と疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、活用手法には大きく分けて「資産価値を活かした活用」と「収益性を活かした活用」の2つがあります。
リバースモーゲージによる活用
リバースモーゲージは不動産の「資産価値を活かした活用」です。
そこで今回は、リバースモーゲージをビジネスシーンで活用する可能性について解説します。
リバースモーゲージとは、自宅を担保に銀行などから融資を受け、亡くなった後に自宅を処分して借入を一括返済するローンのことです。住宅の資産価値に着目し、銀行などから資金を引き出す手段になるという意味で、リバースモーゲージは立派な活用の1つなのです。
さらに、所有者が亡くなった後には自宅を処分するので、空き家を子どもたちに残す心配もありません。その意味でリバースモーゲージは、究極の空き家対策ともいえます。
リバースモーゲージの空き家活用での活かし方
リバースモーゲージの融資金には、様々な使い道があります。
例えば、リバースモーゲージのパイオニアといわれている東京スター銀行の「充実人生」では、セカンドライフ資金を始め、リフォーム資金、老人ホームの入居資金、住宅の住み替え資金など使途は多岐にわたります。
また住宅金融支援機構は、今年5月30日に同機構が取り扱っている「リ・バース60」の利用実績等を公表していますが、注目すべきは、利用者の資金使途で最も多かったのが新築マンションの購入(40%)で、以下、新築住宅の建設(31%)、戸建リフォーム(13%)だったということです。
一般的に高齢者は年齢や収入により住宅ローンが利用できないことが多いのですが、リバースモーゲージを利用することで新築・購入が可能になるのです。
そこで、リバースモーゲージも上手に活用することにより、ビジネスシーンで利用できる場面が期待できます。マンション購入、新築住宅建設、リフォーム等では、資金調達手法のひとつとしてリバースモーゲージを顧客に提案できればビジネスの対象が広がります。