(画像=写真AC)
次に「法的な問題はないが障害がある」ために売却することが難しいケースです。
①境界が決まっていない、境界で揉めている
不動産売買においては、売主は買主に対して隣地との境界の明示をしなければいけませんが、具体的には売主が隣地との合意に基づく境界確認書を作成し買主に渡すことが一般的です。しかし境界が決まらないと確認書の作成ができません。
話し合いで境界が確定すれば良いですが、揉めてしまい決まらない場合も多く見受けられます。境界が決まらない場合は、筆界特定制度を利用し、法務局に境界を示してもらう方法がありますが、費用も時間もかかります。境界確定訴訟になると更に負担が増えます。
②私道に持ち分がない
接道している道路が私道の場合、道路の持ち分がないとさまざまなデメリットが生じます。違法ではないため建築許可は取れますが、道路所有者の承諾がないと、水道やガスを引き込むために道路を掘削することができない、自家用車や工事車両の通行ができないなどの問題が生じます。
そのため、私道を利用・使用するためには、所有者に持ち分の一部を譲ってもらう、謝礼を支払う等の方法が必要になります。しかし実際には承諾を得られないことも少なくありません。
売却の障害になる要因はその他にもいろいろとあります。
・敷地の中に隣地の埋設物がある(水道管、ガス管など)
・建物が耐震基準を満たしていない
・集合住宅にエレベータがない
・上下水道が私設菅
・隣地、近隣に嫌悪施設(工場、墓地、風俗店など)がある…
といった物理的な問題以外にも
・不動産が兄弟姉妹の共有で売却の方針や条件に意見の相違がありまとまらない
・相続トラブルのため、相続登記ができない
・荷物が多すぎて片付く目処がつかない
などの人的な問題もあります。
実はこれらの問題点を売主自身が把握していないことが多いということも大きな支障になっています。
特に相続した空き家は、亡くなった親は分かっていたけれど相続人である子どもは指摘されるまで知らなかったということがよくあります。
そのため皆さんが空き家の問題点を早めに洗い出し、売主にアドバイスをして、少しでも早く解決に向けて動き出すことが重要です。
売却にあたっては空き家も商品です。市場で売り出す前に、ベストなコンディションにして商品として仕上げるよう売主のアドバイザーとして活躍されることを期待します。