3.コンサルティング報酬を検討する
地方にある空き家は一般的に売却価格が低いため、仲介する不動産会社のモチベーションが下がるということがよく言われます。不動産会社のやる気という面では報酬の多寡は大きなポイントになります。
例えば都市圏で5,000万円の中古住宅を仲介した場合は、売主買主合計で税別312万円の仲介手数料を受け取れるのに対し、地方で300万円の中古住宅を仲介した場合は、売主買主合計でも税別28万円にしかなりません。売却にかかる手間は同じか、かえって地方のほうが苦労する場合が多いくらいです。
国土交通省の告示により、400万円以下の低廉な空き家については本年1月1日より、現地調査等の費用を仲介手数料に加算できるようになり上限が18万円にアップしましたが、これも焼け石に水です。
売主にとっては売却できるかどうかが最大の問題ですから、多少コストがかかっても気持ちよく仕事をしてもらい早めに売却できることの方が重要です。売却ができ、その後の負担から解放されるという事実にはコストを超える大きなメリットがあります。
そのために、媒介契約の前に、住宅資産活用に関するコンサルティング契約を締結する手法もありと考えています。前述の100円不動産を展開した不動産会社は、仲介手数料はほぼ0(100円だと5円ですね)のため、売主からコンサルティング報酬を受け取っています。売主に納得してもらえれば、その方が幅広い視点での提案ができ、結果的に売主の満足度も上がります。また不動産会社も売主から十分な報酬が得られれば、買主からの仲介手数料をサービスすることもできます。買主も初期費用が抑えられれば、さらに買いやすくなるでしょう。
ちなみにアメリカでは、州にもよりますが一般的に仲介手数料は6%で売主が負担し、買主は負担しません。
今回はいくつかのポイントに絞って解説しましたが、大切なのは個別性、特殊性の高い空き家の売却に当たっては、それぞれの特徴に応じてきめ細やかな戦術を立て、実行することです。