ソーラシェアリング(2)(遊休農地の転用)
1 はじめに
遊休農地を太陽光発電のために使用するにあたっては、農地を太陽光発電用地に転用する場合(転用型)と、農地として利用しながら、太陽光発電を行う場合(営農型)があります。
同じ土地でも、転用型と営農型では設置できる太陽光発電パネルの量が異なります。それは営農型が、農地の耕作を妨げてはならないという条件付付きの運用だからです。
2 農地で行う太陽発電
太陽光発電は、太陽光発電パネルに太陽光をあてて、電気を生み出し、発電した電気を電力会社に販売することによって利益を得ます。
電力会社による買い取り価格は国によって定められ、20年間は固定価格で買い取られます。
この固定価格買い取り制度が導入されたことによって、一般の住宅や土地で太陽光発電が急速に普及してゆきました。
しかし、農地での太陽発電は普及が遅れていました。それは、農地を耕作目的以外の目的で利用することが禁じられていたからです。
この問題を解決したのが、ソーラシェアリングです。
3 ソーラシェアリングの概要
ソーラシェアリングのソーラとは太陽光、シェアリングとは分けるという意味です。作物に必要な太陽光を確保しつつ、残りの太陽光を太陽光発電に振り分けるのです。
一般に農地で作付けされる多くの作物にとって、作物の成長に必要な光量よりも、太陽から降り注ぐ光量のほうが多いとされます。
大半の植物には、一定量以上の光量を受けてもそれ以上光合成ができない上限(光飽和点)があり、光飽和点以上の光量を与えても一定の光合成量しか生成しません。
したがって、光飽和点が低い作物ほど、残りの太陽光は過剰に降り注いでいます。この過剰な太陽光を利用する仕組みがソーラシェアリングです。
ソーラシェアリングは、農地の空中に隙間を作り、太陽光パネルを並べて、作物への日射量を確保しながら発電をする仕組みです。
このソーラシェアリングにもさまざまなバリエーションがあり、寒冷地では温室の上部に太陽光パネルを設置し、隙間から太陽光を地表や、地上から少し上に設置した水田用の棚に、太陽を降り注がせるとともに、温室の天井にも鏡を置いて、温室の中で太陽光を反射させることによって、効率的な太陽光の活用を図っているものがあります。
4. 次回(農地転用の方法)
次回は農地の転用の仕方について、詳しく論じたいと思います。