都市計画法に基づく用途制限(3)
1 はじめに
都市計画法に基づく用途制限として、重要なものに臨港地区があります。
臨港地区とは、都市計画法で定められた地域地区の一つであり、港湾を管理運営するために定められた地区です。
当該地区においては、都道府県などの条例などで定められたもの以外の建築が禁止されます。
2.横浜の場合
たとえば、横浜では条例によって、ホテルや港湾関係者の利便の用に供するものではない商業施設などが建築できないことになっています。
また、倉庫や駐車場であっても、輸出入自動車の保管のための設備(保管施設)や、港へ船で運ばれてきた物品の保管場所(保管施設)などでなければ、建築することができません。
たとえば、倉庫であっても、物流の拠点として、陸上運送業者のための倉庫を建築することは許されません。
この港湾施設の指定による規制を解消する方法として、都市計画の変更手続がありますが、臨海地区の指定の変更は非常に困難であって、土地の有効利用といった程度では認められません。
3.都市計画の変更
都市計画の変更も、絶対に不可能というわけではありませんが、非常に難しいと言わざるを得ません。
もっとも、平成14年の都市計画法の改正により、住民による都市計画の提案制度が新設されています。
これは、地域の住民などがより主体的かつ積極的に都市計画に関わっていくことを可能にするための制度として創設されたものであり、土地所有者、まちづくりNPOなどが、一定の条件を満たした上で、地方公共団体に都市計画の提案ができるというものです。。
4 横浜市の場合
横浜市の場合、まず都市整備局に事前相談をし、都市計画の内容について、提案できるか、否かを確認する必要があります。
そのうえで、提案が可能である場合には、必要に応じて、都市計画案の説明会がひらかで、提案書の縦覧や公聴会が開かれます。
そううえで、横浜市都市計画審議会により、最終的に都市計画の変更が認められれば、都市計画の変更が可能になります。
5 結び
このように、臨海地区に指定されると、その指定の変更は極めて厳格な手続きを要するので、臨海地区内において、建物を建設する場合には、臨海地区において建築の可能な建物か、否かをしっかりと見極める必要があります。
とりわけ、倉庫などの場合には、港湾施設としての制約が加わり、必ずしも港湾施設として使うことも可能という程度ではなく、積極的に港湾施設として利用するための倉庫であることが必要である点には注意が必要です。
このあたりの詳細は、専門家にご相談をされることをお勧めします。
以上